「若者に選ばれるまち」を目指して、市民と手を組む
長井さんの活動の一つが、「078」だ。ゼロナナハチと読むこのイベントは、人口減少に歯止めがかからない神戸市が「若者に選ばれるまち」を目指して、市民と手を組んで創出した事業である。
UIKの担当課×市民のワークショップのワンシーン(078)(写真=078実行委員会)
アメリカで年々拡大するテクノロジーとエンターテインメントの祭典に「SXSW(サウスバイサウスウェスト)」があるが、078は、いわばその日本版。神戸市内の産学官メンバーで構成される実行委員会が主催し、音楽や映画、ファッション、アニメといったカルチャーに、ITや食、子どもをテーマにした企画を掛け合わせて楽しむ、クロスメディアのイベントだ。
初回となった2017年5月には、神戸市中心部で二日間にわたって開催され、合計3万6500人の来場者を記録。翌2018年は会場を広げ、SNSを活用した情報発信が功を奏して、前年の約2倍となる7万5300人が国内外から参加するフェスティバルになった。
長井さんらは、「街をより良くするために、いろいろなアイデアの掛け合わせを試していきたい」と、今後も大学や学生、企業との掛け合わせを計画している。
「先進的なテクノロジーを持つ企業と地元神戸の企業や大学、学生とをつなげることで『神戸ならでは』のオープンイノベーションを巻き起こし、それが神戸モデルとして全国に展開していくことになればいいなと。これからもワクワクするような取り組みを仕掛け、首を突っ込みたくなるような街になっていけば面白い」
課題こそ、イノベーションのヒント
神戸市役所を訪れたこの日、兵庫県の小規模地域のアンテナショップ「元町マルシェ」や、環境制御型ハウスでトマトを栽培している東馬場農園などを訪問し、この街にには、まだまだ新しい価値を創造できる伸びしろと可能性に満ち溢れていると感じた。