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機械式時計製造のゆりかごと呼ばれるジュウ渓谷の小さな街ル・ブラッシュに、ブランパンのアトリエがある。

今、高級時計が売れている。欲しいと考えている人も多い。しかしこれだけ多種多彩なブランドがあると、何を選ぶべきか悩んでしまうだろう。現存するスイス最古の時計ブランド「ブランパン」は、歴史と伝統に裏打ちされた“本物のスイス時計”を作っている。混迷の時代には、こういった揺るぎない価値が嬉しい。


スイス時計の最古参であり、スイス時計文化の庇護者

スイスには多くの老舗時計ブランドがあるが、最も長い歴史を持つのが「ブランパン」だ。ジャン-ジャック・ブランパンが1735年に立ち上げた時計工房がルーツとなる老舗だが、その名声を高めたのは、1953年に発表した世界初のモダンダイバーズウォッチ「フィフティ ファゾムス」だろう。当時フランス海軍特殊潜水部隊の要請で開発され、以降のダイバーズウォッチの定義を確立したとされる時計であり、ブランパンの時計作りのレベルの高さが分かる。

しかし1970年代に入ると、日本製クオーツウォッチの隆盛によってスイス時計業界の売り上げは急落。ブランパンでさえも、その打撃を受けた。


机にかじりつくようにして精密な作業を進める時計師。この光景は、創業当時から変わらない。

この名門をこのままにしてよいのか?そう考えたのが、時計界の名経営者ジャン-クロード・ビバーだった。彼は1983年にブランパンの経営に参画すると、名門ムーブメントメーカー、フレデリック・ピゲ社と組んでさまざまな時計製造に取り組んでいく。その際に英断だったのは、時流に合わせて安価なクオーツムーブメントを採用するのではなく、味わい深い機械式時計の製造にこだわったことだった。

特にブランパンが力を入れたのが、ブランパンの歴史を再構築するハイ・コンプリケーションウォッチたち。「ウルトラスリム」「ミニッツリピーター」「トゥールビヨン」など、時計製造の表舞台から姿を消していた6つの複雑な時計技術を復活させたのだ。

この時計たちは「シックス・マスターピース」と命名され、時計愛好家から絶賛される。小さなパーツが寸分の誤差もなく動き、時を表現する機械式時計は、便利なクオーツウォッチにはない価値があることが再認識されたのだ。 


彫金は伝統技術のひとつ。熟練職人がインドの神ガネーシャの姿を彫り込んでいる。

そしてこれが呼び水となって機械式時計の価値が再認知され、スイス時計業界はV字回復をする。つまりブランパンは、スイス機械式時計における“中興の祖”でもあるのだ。

現在は、スイスのル・ブラッシュとル・サンティエの工房で、伝統的な時計作りを続けている。ドレスウォッチやハイコンプリケーション、ダイバーズウォッチ、レディスウォッチなど、そのバリエーションは多種多彩で、「メティエダール」と呼ばれる伝統的な工芸技法の復活にも力を入れ、芸術作品のようなユニークピースを生み出している。スイスウォッチの歴史と伝統、美しさや味わいなどを堪能するのであれば、ブランパンを見逃すことはできないのである。
 


2019年の新作ウォッチたち

2019年のブランパンの新作ウォッチは、スウォッチグループの時計イベント「Time to Move」にて発表された。世界各国のジャーナリストたちは、ジュウ渓谷にあるブランパンの時計工房を取材し、工房内で新作ウォッチのプレゼンテーションを受けた。今年もドレスウォッチの「ヴィルレ」、ダイバーズウォッチの「フィフティ ファゾムス」を中心に、レディスウォッチや通常のコレクションにはないスペシャリティなど幅広い新作が発表された。

【ヴィルレ】

創業地、ヴィルレの名を冠したコレクションは、ブランパンの中で最もクラシカルな魅力がある。ラウンドケースは薄くて端正ながら、ダブルステップ・ベゼルと呼ばれる段をつけたベゼルによって華やかさを加える。その佇まいは、まさにビジネスウォッチの王道といえるだろう。


シンボリックな二針モデル「ヴィルレ ウルトラスリム」。極めてシンプルだが、搭載ムーブメントは実力派。連続駆動時間は約100時間(パワーリザーブ表示はムーブメント裏面に)で、安定したトルクによって高精度を実現。しかもケース厚は7.39㎜しかないので、シャツの袖口にすっと馴染む。約100時間パワーリザーブ、手巻き、18KRGケース、ケース径40㎜。195万円


現代のビジネスマンに必須のGMT機構を、シンプルにまとめた「ヴィルレ GMT デイト」。第二時間帯表示は、先端が赤い針でさりげなく表示するため、視認性が高く機能的でありながらエレガント。「ミルマイユ」と呼ばれるブレスレットモデルなら色気ある腕元になる。約100時間パワーリザーブ、自動巻き、18KRGケース、ケース径40㎜。402万円

【フィフティ ファゾムス】

1953年に誕生したダイバーズウォッチ「フィフティ ファゾムス」の特徴は、高い視認性を実現したシンプルな表示と、潜水経過時間を計測するための大きな逆回転防止ベゼルが特徴。ダイバーズウォッチの原点とされる傑作は、大人の休日時計としても活躍するだろう。


1953年モデルのスタイルを継承する「フィフティ ファゾムス オートマティック」。その最新版はケース素材にチタンを使用。とても軽くて快適なだけでなく、耐錆性能に優れる理想素材であり、ダイバーズウォッチとしての価値を更に高めている。300m防水。約5日間パワーリザーブ、自動巻き、Tiケース、ケース径45㎜。155万円


フィフティ ファゾムス誕生のきっかけは、フランス海軍からのオーダーであった。その輝かしい歴史へのトリビュートモデル「フィフティ ファゾムス オートマティック “フロッグマン”」は、ケースバックに特殊潜水部隊のシンボルが入る。ダイヤルの“7”は、純酸素のボンベを使用した際の最大深度7m(当時の時計の防水性能は約91m)を示すもの。300m防水、世界限定300本。約5日間パワーリザーブ、巻き、SSケース、ケース径45㎜。153万円


ブランパンのラグジュアリー感を楽しみたいなら、レッドゴールド製モデルの「フィフテ ファゾムス オートマティック」いう選択肢も。ブルーとの色合わせで、なんとも艶っぽい腕元になる。約5日間パワーリザーブ、自動巻き、18KRGケース、ケース径45㎜。352万円

【スペシャリティ】

ブランパンの伝説を継承する特別な時計たち。デザインはもちろんのこと、その背景にある物語によって所有する喜びを与えてくれるのだ。


アメリカ空軍パイロットのためにプロトタイプを12本のみ製作したという、1950年代の幻の高精度クロノグラフがルーツの「エアコマンド」。毎時36000振動というハイビート設計になっており、1/10秒の計測が可能。ケースバックから見える自動巻きローターは、プロペラの形状をしている。世界限定500本。約50時間パワーリザーブ、自動巻き、SSケース、ケース径42.5㎜。195万円

【レディスウォッチ】

ブランパンが、世界で初めて女性用の自動巻きウォッチを製作したのは1930年のこと。それまでは小型化のために手巻き式を用いていたが、実用性とデザイン性を両立させたのだ。もちろん今でも、ブランパンのレディスウォッチは機械式のみであり、どれもが優雅で美しい。


端正なヴィルレの特徴をベースに、女性らしい可憐さ加えた「ヴィルレ デイト」。ポイントとなるのはオーバル型の日付表示窓。さらに透かし彫りのリーフ針やベゼル&インデックスのダイヤモンドによって、華やかさを加えている。ムーブメントは長時間駆動するので、金曜の夜に時計を外しても、巻き上げた状態であれば月曜の朝まで正確に時を刻んでいる。約100時間パワーリザーブ、自動巻き、SSケース、ケース径33.2㎜。139万円


針式のカレンダーとムーンフェイズ表示を備えており、ブランパンらしい機械式機構の味わいも堪能できるレディスウォッチ「ヴィルレ デイト ムーンフェイズ」。ケースを33.2㎜へと少し大きくし、ムーンフェイズの顔の口元には“つけぼくろ”でフェミニンにアレンジ。約40時間パワーリザーブ、自動巻き、18KRGケース、ケース径33.2㎜。178万円

海を愛する心をつなぐ海洋保全活動「オーシャン コミットメント」

ダイバーズウォッチの原点「フィフティ ファゾムス」によって、海洋探査の歴史を切り開いたブランパンにとって、美しい海を守ることは使命でもある。ブランパンでは「オーシャン コミットメント」という海洋保全活動のプログラムを行っており、海洋生物学者ローラン・バレスタ氏による「ゴンベッサ」プロジェクトなどの海洋探査活動をサポートするだけでなく、「世界海洋デー」との提携や『エコノミスト』誌が主催する「ワールド オーシャン イニシアチブ」への支援なども行っている。

ちなみにブランパン社長兼CEOのマーク A. ハイエック氏自身もダイバーで、水中写真も趣味としている。トップ自らが海を愛し、海洋保全活動を実践する「オーシャン コミットメント」からも、ブランパンがエシカル(倫理的)なブランドであることが分かる。


ロンドン自然史博物館で開催されたイベントにて、「オーシャン コミットメント」に関するスピーチを行うブランパン社長兼CEOのマーク A. ハイエック。

2019年9月に銀座で開催された ブランパン オーシャン コミットメント エキシビション


ブランパンの世界観に浸るならブティックへ

ブランパンの時計は、熟練職人によって丁寧に製造されている。そのため年間生産本数も限られており、残念ながら欲しいと思ってもすぐに購入できるとは限らない。また、複雑なメカニズムを持つハイコンプリケーションモデルも多いため、使用時の注意事項などを知っておくと安心だ。

そのためブランパンの時計を手に入れるなら、直営のブティックをお勧めしたい。豊富な知識を持ったスタッフが接客をしてくれるだけでなく、購入後もメンテナンスの窓口になってくれるので、一生モノのブランパンの時計を安心して手にできるだろう。現在は銀座のニコラス・G・ハイエック センターの「ブランパン ブティック銀座」に加えて、2019年8月に「ブランパン ブティック日本橋三越本店」もオープン。特別な時計は、特別な場所で出会いたい。


ブランパン ブティック日本橋三越本店
東京都中央区日本橋室町1-4-1 日本橋三越本店 本館6階 ウォッチギャラリー
TEL (03) 3241-3311(大代表)

【フェア情報】

2019年11月29日(金) ~ 12月25日(水)の期間中に「ブランパン ブティック日本橋三越本店」にて「レディス ウォッチ フェア」を開催。フェア期間中にご購入いただいたお客様にはノベルティをプレゼント。(数に限りがございますので、無くなり次第終了とさせていただきます)

なお、12月14日(土)・15日(日)正午~午後7時にご来店頂いたお客様には、当ブティック内においてスイスワインとスイーツをご提供させて頂きます。
※20歳未満の方、お車・オートバイ等を運転される方の飲酒はご遠慮いただいております。


「ヴィルレ デイト ムーンフェイズ」約40時間パワーリザーブ、交換用ストラップ4本付、自動巻き、SSケース、ケース径29.2㎜。163万円

Promoted by ブランパン / 文=篠田哲生

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