メルセデス・ベンツが2018年9月にストックホルムで発表した、ピュアEV(電気自動車)が「EQC」だ。日本でも19年7月4日に発表された。
このクルマの特徴は、知らなければEVには見えないことだ。既存のSUV、GLCの車体を使い、サスペンションシステムも基本的には流用。内燃機関を外して、前後に2基の電気モーターと、80キロワット時の容量のバッテリーを搭載した。
昨今のメルセデス・ベンツの車名のつけ方からすると、今回はEQシリーズにおけるCクラス相当というポジションだろう。将来は大きなEQEやEQSが登場するかもしれない。
注目すべき点は、開発者による、ある種の割り切りだ。
大きなコストを投じてピュアEVをゼロからつくるのではなく、衝突安全性などを考えて、GLCの車体に手を加えるのが得策と判断しただろうか。
日本でも既発のジャガーのI-PACEや欧州の一部でデリバリーが始まったアウディe-tronといったEVと較べると、パッケージング(車体と室内空間のバランス)では分が悪いかもしれないが、許容できる範囲の室内空間と、必要にして十分なバッテリー容量が確保できればいい、という考えにも妥当性がある。
乗り味はGLCと同等と評価されているなど、リソースをうまく生かしているようだ。
将来的にEQのファミリーを増やしていくメルセデス・ベンツの計画にとって、バッテリーは重要な要素だ。
サードパーティに頼っていては生産計画が不安定になると、自社のバッテリー工場の建設が進められているようだ。EQCの場合は、(当面は)買収したドイツのバッテリー工場から、セル数384のリチウムイオンタイプが供給される。
乗り手にとっては、動力が電気になったというだけにとどまらず、通信など、社会のインフラとつながることで、より利便性の高い生活への変化も期待できそうだ。そこがEVの新しさである。
Mercedes Benz EQC
駆動形式:電気モーターによる4WD
全長:4761mm
全幅:1884mm
全高:1624mm
最高出力:300kW
価格:¥10800000(8%の消費税込み)
問い合わせ:メルセデス・コール(0120-190-610)
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