フォーブス ジャパン編集部 編集者

New Innovations代表取締役CEO 中尾渓人とTHE SEEDジェネラルパートナー 廣澤太紀

中尾渓人は2018年1月、New Innovationsを設立した。中尾は1999年生まれの20歳。大阪大学工学部在学中の学生起業家で、14歳で自律型ロボットの国際的研究競技大会「ロボカップジュニア」に日本代表として出場し入賞した経験を持つ。

15年以上行ってきたロボット開発の知見を生かし、需要予測AI搭載の無人カフェロボットを開発。19年8月の1カ月間、南海電気鉄道の協力のもと、駅改札前ならびにオフィスビルのロビーにて、待ち時間最短でコーヒーを提供する実証実験を行った。
 
廣澤太紀は18年9月、シード特化型VCのTHE SEEDを設立。18年9月、同社に投資を行い、支援している。


廣澤:最初にお会いしたのは、18年7月。私が運営する、関西の学生向けイベント「スタートアップ関西」の第1回に、スタッフとして応募してきたのが中尾さんでした。ツイッターのDMでメッセージをもらい、「面白いな」と直接お会いし、15分間、話をする中で「投資したい」と。当時、まだファンドができていなかったのですが(笑)。

私の投資方針は、同年代をはじめ若い起業家へ投資をすること、大きな市場、大きなトレンドの中で挑戦しようとし、実現できるバックグラウンドがある起業家に投資をすることです。

中尾:私の起業の背景には、ロボカップに出たときの思いがあります。それは、コンテストに出ているだけで「人々の生活を豊かにしていない」という思いです。

また、私は高校時代、ロボカップに出る製作資金を得るために、HP製作やサーバー復旧、ウイルスの駆除など、取引先300社になるまでシステム開発事業をしていました。そのときに感じたのが、ロボカップに出るよりも、受託開発したほうが社会に必要とされ、お金をもらい、感謝もされるということ。

ただ、それも私のやりたいことと違うと。私が本当にやりたいのは「人々の生活を変えるインパクトを残すこと」だと気づき、次の一手を模索していた時期でした。当時、廣澤さんと話をしていて、ワクワクしたのは「ファンドを作るから待って」と言われたこと。起業家がファンドの着金を待つというのは面白いなと(笑)。

廣澤:中尾さんが起業家として優れているところは、「決めを持って動ける」こと。いまの手数や情報量の中で、いつまでに何をしたらいいかを決めてできるタイプ。だからこそ、今回の実証実験も、年末に着想したところから、南海電鉄と急ピッチで進めていけたのは、いま重要なことを決めて実行していく力があるからだと思います。

中尾:今後の展開ですが、無人カフェロボットを作り続けたいわけではありません。私は、コミュニケーションや人の温もりに対して、人がリソースを割ける状態を「生活が豊か」と定義しています。だからこそ、ありとあらゆる不合理をはらんでいる業界で、無人化の取り組みを進めたい。「オンラインとオフラインの融合」が必要なリアルな世界と関わり、プロダクトをどんどん出していきたいんです。

私はロボット製作で、知識として知っていることと、知恵として発揮できることはちがうと学びました。やらないと知恵やノウハウはたまらないと思っていて、特にスタートアップの場合、まずやってみることがレバレッジになりますから。

廣澤:僕自身も独立して1年経過していないので、必死に事業をどうするか、ファンドをどうするかを考えています。投資家と起業家という関係というよりは、僕も起業家精神が強いキャピタリストになりたいと思っているので、「同期」として一緒に頑張っていければと思います。


ひろざわ・だいき◎THE SEEDジェネラルパートナー。1992年生まれ。2014年ベンチャー企業にて、メディア新規事業開発を担当。15年、East Venturesに参画後、Skyland Venturesへ出向し、2社VCを兼務した。17年4月より、投資先複数社にて新規事業のリリース、マーケティングを担当、投資先の資金調達も支援。18年9月、独立し、THESEED設立。主な投資先はAGRI SMILE。

なかお・けいと◎New Innovations代表取締役CEO。1999年生まれ。大阪大学工学部在学中。14歳で、自律型ロボットによる国際的な研究競技大会「ロボカップジュニア」に日本代表として出場し、入賞。高校在学中にシステム開発事業を開始。2018年1月、同社を設立。現在は東京を拠点に、需要予測AI搭載の無人カフェロボットを開発している。

文=山本智之 写真=平岩 享

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