来年度から小学校でプログラミングが必修化。そのための準備は万全か?

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また、小学校の教師に限定した「プログラミング教育の授業実施に不安があるか?」という質問の回答からは、圧倒的に不安を感じている教師が多いことがわかる。

・不安がある……66%
・不安はない……34%

地域差が出る理由とそれを解決していくには

なぜこれだけ不安が高まっているのだろう。

まずは、先に述べたように先生たちがプログラミングに対して、必要な知識を学生時代に得ていないという前提があるだろう。また、実際に研修などで勉強する余裕や時間もないのが現状ではないか。

このことは、授業をしていく上で「プログラミング教材」「カリキュラム・指導計画・指導案」「教材の使い方」が必要であるという回答からもわかる。勉強して知識を積み重ねるよりも、明日の授業ですぐ使える教材や指針がほしいと言っている教師がほとんどだ。

また、準備に地域差が出てしまう理由のひとつは、学校を指導する立場の教育委員会の体制に差があることが挙げられる。

教育委員会担当者が積極的に情報収集し、先生たちの勉強の機会を設けている地域では、やはり学校の取り組みが進んでいるからだ。

先のプログラミングフェスタのパネルディスカッションで、あるお父さんが隣に座っていた子どもに、「よく聞いておきなさい。おまえの将来にかかわることだぞ」と言っていたそうだ。

いまではスマホや日常生活の場面において、私たちはコンピューターやプログラミングの恩恵を受けている。今後ますますそれは加速していくだろう。国がいう「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society5.0)」を生きていく子どもたちにプログラミングを体験させ、その仕組み・考え方を身につけさせていくことが真のプログラミング教育のねらいだ。

都会に住んでいる人は知らないかもしれないが、地方都市ではプログラミングイベントはとても少ない。

さまざまなプログラミングイベントが地方で開催されることによって、子どもを持つ親にプログラミング教育の真の狙いを体感してもらう機会を設けることがまず必要だ。地道な努力ではあるが、そうしたイベントに参加した大人たちが、子どもたちに必要なプログラミング教育を全国各地どこの学校でも同様に受けられるように声をあげ、また学校に協力していくことが、求められているのではないだろうか。

連載:地方の現場から見た教育の今
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文=望月陽一郎

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