ビジネス

2019.11.13 06:30

大麻合法化で先を行く「ビーボー」の高級ブランド化戦略

左からクレメント・クワンとスコット・キャンベル


ビーボーは成長するにつれ、業界のより大手の企業に注目されるようになった。特に、時価総額20億ドルの上場大麻企業、グリーン・サム・インダストリーズ(GTI)がそうだ。GTIは今年2月、全額株式交換によるビーボーの買収を完了させた。条件は開示されていないが、業界関係者によると売却額は約8000万ドルだという。
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「このビジネスで勝つ方法は、バーではなく酒を所有することです」と、GTIの創業者兼CEOのベン・コーブラーは言う。「ビーボーは、消費者と本物かつ誠実な関係を築くタイプのブランド化された消費財の例です」。

常用者でなく新たな人を呼び込む

キャンベルとクワンは2014年に飛行機の機内で出会い、大麻農場を始めようと話した。しかしすぐに、利益への道においては──ファッション業界がそうであるように──ブランドが重要であることに気づいた。
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2人は、立ち上げたスタートアップにキャンベルの母方の祖母、バーニース・ボーの名前を付けた。この祖母は、キャンベルの子ども時代を通じてがんと闘っていたキャンベルの母親の痛みを和らげるため、大麻入りのブラウニーを焼いていたという。

キャンベルとクワンは家族や友人から170万ドルを調達したが、17年に製品を発売したところ──ダイムバッグ(袋詰め大麻)よりエルメスのバッグを思わせるデザインだった──大麻販売所の経営者たちには受けなかった。

「おかしいと思うけれど、実は一日中ハイでいたいとは思わない人もいるんだ」と彼らに説明したことを、キャンベルは覚えている。「最初は苦戦しました。実はTHC含有量が少ないほうが、一部の消費者には好まれるのだと信じてもらうことにです」。

キャンベルとクワンは、懐疑的な経営者に無料サンプルを配布するという対応に出た。すると、例外なくもっと欲しいと言われ、同じ言葉を繰り返し聞くようになったという。「妻がとても気に入っているんだ」と。ビーボーは、約70〜75%を女性が占める、洗練された顧客基盤を構築。ビーボーの経営陣も、マイクロソフト出身のキャロル・コー・エバンス最高財務責任者(CFO)をはじめとする女性で構成されており、女性顧客を理解する助けになっている。

「大麻の規制緩和で一番楽しみなのは、大麻を常用する人たちがハイになりやすくなることではありません」とキャンベルは語る。「それより、新たに人を呼び込めることです」


CLEMENT KWAN, SCOTT CAMPBELL◎スコット・キャンベルは、裏で麻薬を売るタトゥーパーラーでキャリアをスタートさせた。クレメント・クワンは、大麻を栽培し売ることでカリフォルニア大学バークレー校を自力で卒業。その後はファッション業界でキャリアを築いた。

文=ザック・オマリー・グリーンバーグ 写真=ロバート・ギャラハー 翻訳=木村理恵

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