この店を訪れる客を迎えるのは、大理石粉と水晶で作られた厚い板に陳列された大麻製品である。どれも、2年前に立ち上げられた高級大麻ブランド、ビーボー(Beboe)の商品だ。
1箱7本入りで60ドルの紙巻大麻、1缶25ドルの大麻タブレットキャンディ、120服以上に相当するTHC(大麻の主要な精神活性物質)入りのバーニーズ限定モデルの黒とシルバーのベイプペン(ペン型電子吸入器)などがある。ベイプペンは60ドルとお高い。ハイにはなりたくない? そんな人には、CBD(精神作用のない成分)入りの美容液やフェイスパックもある。
「私たちの製品はすべて、ディナーパーティやカクテルパーティで楽しむためのものであり、さらにはそのパーティから心身を回復させる方法でもあります」と、ドルチェ&ガッバーナの幹部だったクレメント・クワンは語る。
クワンは、ロサンゼルスのタトゥーアーティストであるスコット・キャンベルとともにビーボーを創業。同社の製品にはキャンベルの複雑な線画が施されている。
「自分たちの創造性を形にして世界に送り出しました。なぜなら、ビーボーは結局のところ、トロイの木馬のようなものですから。バーニーズでショッピングをする人たちは、『マリファナなんてもうずっと吸っていないけれど、ビーボーのことは興味がある』と言います」
大麻の合法化が全米各地で進むなか──11の州が娯楽目的の使用を認める法律を採択しており、それとは別に22の州が医療用大麻のみを許可している──大麻ビジネスはようやく、推進派が長く構想してきた大きく広がるビジネスになりつつある。
昨年、合法大麻産業は100億ドル以上の売り上げを生み出しており──約25万の雇用もである──今後6年間で年間売り上げが260億ドルに達する可能性を示唆する調査研究もある。
そして、そんな状況において、ビーボーはまさに理想的な立ち位置にいる。例えばハイ・エンドでは、コンシェルジュが注文を受け、宅配サービスがロサンゼルス郡内のどこへでも品物を配達する(顧客が購入した大麻製品を持ち帰ることは、まだ法律で禁じられている)。さらに、ビーボーは人気の大麻販売チェーン、メッドメンの販売所から高級デパートのニーマン・マーカスに至る幅広い店舗でも製品を販売している。