判断力のないリーダーと思われないために 避けたいありがちな過ち

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決定に至った根拠を説明する

部下がリーダーの決断力を信頼するには、その決定が適切な人々や重要なステークホルダー、専門家などからの情報を基に下されたものであることを理解する必要がある。

例えば、顧客に影響する決断の場合、部下としては、その顧客から何らかのインプットがあったかどうかを知りたいものだ。

ところが想像できるように、リーダーの多くは、それが顧客や同僚、あるいは部下であろうと、他人の意見をなかなか受け入れられない。

2万7048人の役員、管理職、従業員を対象とした別のアンケート調査「The Risks Of Ignoring Employee Feedback(従業員からのフィードバックを無視することのリスク)」では、部下からの改善提案を促したり、それに耳を傾けたりするリーダーが非常に少ないことが分かった。リーダーが常に部下に対して改善提案を促し、それを認知していると答えた回答者はわずか24%だった。

自分の上司は積極的に周囲の意見を聞き入れていると思えると、そのリーダーに対する信頼感が増すだけでなく、部下のエンゲージメントも向上する。アンケート調査では、自分の上司が従業員による改善案を積極的に促進・認知していると思う人は、自分の職場を勧める確率が12倍も高かった。

部下は、リーダーには外部からのインプットを得てほしいと願うのみならず、その情報の出処が適切なものかどうかも確認したいと思っている。友人やイエスマンだけに耳を傾けるようなリーダーではないことを確認したいのだ。

部下がリーダーの決定に全面的に賛同できなかったとしても、リーダーが自分や内輪の人物ではない人々から情報を得たことが分かれば、その決定を支持してくれる可能性は高まる。

リーダーが決断力不足と見なされる原因となる大きな過ちは、決断の過程で使用したデータや情報を明らかにしないことだ。決定に関する説明や根拠を示すことで、リーダーとしての信頼性が損なわれてしまうという全く誤った考えは捨てなければいけない。正しいのはむしろ、その逆だ。

リーダーの下した決定に、部下が常に賛同するとは限らない。しかし決定に至るまでに使用したデータや情報を理解してもらえれば、リーダー自身やその決断プロセスを信頼してもらえる可能性は非常に大きくなるだろう。

編集=遠藤宗生

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