判断力のないリーダーと思われないために 避けたいありがちな過ち

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リーダーであれば、賢い意思決定ができる人物として見られたいと思うものだ。しかしリーダーがどんなに賢い決断を下そうが、あるひとつの過ちを犯すことで劇的に信用を失い、判断力のない人間としてみなされてしまうことがある。しかも皮肉なことに、その過ちとは意思決定のプロセス自体ではなく、自身の決断を伝える方法をめぐるものだ。

私が創業したコンサルティング企業「リーダーシップIQ(Leadership IQ)」は、7000人以上を対象に「How To Build Trust In The Workplace(職場での信頼構築方法)」と題したアンケートを行い、自分のリーダーを信頼する理由としない理由を聞いた。結果、従業員が上司を信頼するかしないかを決める大きな要因は、その人が「賢い決定を下せるか否か」であることが分かった。

しかし「賢い決定を下す」ことは、良い結果につながる決定を下すことと必ずしも一致しないことも分かった。例えば、深く考えずに反射的に下した決断が、たまたま良い結果につながることも珍しくはない。

そうではなく、部下から「賢い決定を下す」人物として見られるためには、意思決定のプロセスについて透明性あるコミュニケーションをとる必要がある。多くのリーダーが犯す大きな過ちの原因はここにある。

リーダーたる自分は揺るぎない自信を醸し出すべきであり、自分の決断についての説明や根拠を示せば自分の権威が傷ついてしまうと思い込んでいるリーダーは、あまりにも多い。しかし、そうした考え方は現実からかけ離れている。

部下に対して、自分は賢い決定を下せるリーダーだと思わせたいならば、自分がその決定を下すに当たって使用したデータや情報を全て共有する必要がある。

決断に使ったデータを共有する

部下は、リーダーが決定を下す際、それについて熟考しているかどうかを知りたいと思っている。それはデータに基づいた決定なのか、あるいは成り行き任せなのか。分析やデータ、数値を基にしたものなのかを知りたがっているのだ。

特に現代の社会では、データを使用する人物に対する信頼度は高まる。たとえ自分の下した決定の結果が完璧ではなくとも、データや分析に基づく決定であれば、決断力のない人物とはみなされない。決断の根拠となったデータや分析結果を部下と共有すれば、リーダーとしての信頼性はほぼ損なわれない。

もちろん逆もまた然りで、利用可能なデータや研究・分析結果をわざと無視し、データを軽視するリーダーだとみなされると、部下から自分の決断力を信用してもらうことはかなり難しくなる。
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編集=遠藤宗生

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