スターバックスは、ヨーロッパにある昔ながらのコーヒーショップやカフェから多くを学んできた。ゆったりとした店内で、バリスタが淹れたエスプレッソを楽しめる「サードプレイス(第三の場所)」でありたいという理念は、イタリアの伝統的なカフェから大きな影響を受けたものだ。
そのおかげもあり、スターバックスは歴史的に見て、ほかのどのリテール企業よりもスムーズかつ効果的に、アメリカの都会の街並みに溶け込んだ。そしてその成功は、西洋諸国の各社が消費者に向けて自らをマーケティングする方法を一新させることにつながった。
2015年、スターバックスは、ヨーロッパをコンセプトにしたカフェに回帰して活気を取り戻した。そして今回は、メニューの幅を広げて、窒素を加えてなめらかさを増した「ナイトロコールドブリューコーヒー」をはじめとするさまざまなコールドコーヒーを提供。さらに最近では、アメリカ国内限定だが、スターバックス店内でインターネットを利用する客を対象に、「ウォール・ストリート・ジャーナル」や週刊投資情報紙「バロンズ」、一般大衆紙「USAトゥデイ」を無料で読めるサービスも開始した。
ヨーロッパのカフェでは以前から、フラッペやアイス・カプチーノなどのコールドコーヒーがメニューに並ぶ。たとえば、250店舗を世界展開するギリシャ発のフランチャイズチェーン「ミケル・コーヒー・コミュニティ(Mikel Coffee Community)」は創業以来、十数種のコールドコーヒーを提供してきた。
また、ヨーロッパの伝統的なカフェでは、無料で読める新聞を置いているところもある。ただし、それらは紙の新聞だ。
スターバックスはこれまでも、ヨーロッパのカフェを見本にして大きな成果を上げてきた。世界最大のコーヒーショップという地位を手に入れ、売上は260億ドル、利益は75億ドルに上る。そして今回もまた、その戦略が功を奏し、ブランドの活力維持と売上の回復につながっている。