ビジネス

2019.11.16

飲食店の新トレンド「ゴーストレストラン」を生んだ中国企業

元ウーバーCEOトラビス・カラニック/Getty Images

米国のテック企業が中国を模倣するトレンドにまた1社が加わった。元ウーバーCEOのトラビス・カラニックが設立したゴーストレストラン企業の「クラウドキッチンズ」だ。ゴーストレストランとはその名の通り店舗を持たずに運営する、フードデリバリーに特化したレストランのことだ。

この業界のパイオニアとされるのが北京本拠のスタートアップ「パンダ・セレクテッド」だ。カラニックは数年前にウーバーが中国に参入した際から、中国のスタートアップに注目しており、彼が事業のアイデアを中国から得たことに疑いはない。

フードデリバリーに特化したシェア型のキッチンというアイデアは、シェアエコノミーが急速に拡大した中国から生まれた。中国ではタクシーの配車や自転車のレンタル、傘の貸し出しやモバイルバッテリーのシェアまで、あらゆる分野にこの業態が適用された。

調理場をシェアすることにより、レストラン業界に大きな変革が訪れる。ゴーストレストランはモバイルから食事を注文する若い世代に強力にアピールする。レストランの経営者は出店コストを抑え、美味しい料理を作ることに専念できるのだ。

2016年に現CEOのLi Haipengが設立したパンダ・セレクテッドは現在、中国の大都市で120以上の施設を構えている。このビジネスモデルは米国においても急拡大が見込まれている。

カラニックのクラウドキッチンズは、サウジアラビアの政府系ファンドから既に4億ドル(約436億円)を調達している。一方で、パンダは8000万ドルの資金をDCM VenturesやGenbridge Capital、Tiger Globalから調達している。

かつて欧米の模倣から始まった中国のスタートアップは今では、西側を追い越した。今後も中国企業のイノベーションのコピー版が、欧米に登場する見通しだ。筆者は今後、中国で急拡大した格安Eコマースの「拼多多(ピンドォドォ)」の米国版が生まれると予想している。

編集=上田裕資

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