ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信

Mario Tama/Getty Images

アメリカのホームレス問題が深刻化している。

景気が好調なので、ホームレスは減っていると思われがちだが、実は増加している。全国平均では2016年から2017年にかけての1年間で0.7%増なので目立たないが、深刻なのは、保護者のいない子供や若者のホームレスが14.3%も増えていることであり、単なる失業ではなく、今後も職に就く目途の立たないホームレスが12%もいることだ。

今回、この深刻化するホームレス問題への対策をめぐって、テキサスの州都であるオースティン市と州政府が対立している。

オースティンは、規模としては、州内のダラスやヒューストンの後塵を拝しているが、なんでもジャンボサイズが好きなテキサスらしく、アメリカ一の巨大な州議事堂があり、日暮れになると数万匹のこうもりが飛び立つ橋もあるなど、いま観光での集客に注目が集まっている。

IT産業などをはじめとする地場経済の隆盛で、街中には再開発のブルーシートも目立つ。おそらくテキサス州でみても、ダウンタウンの駐車料金は最も高い。ところが、この好況にもかかわらず、オースティンではホームレスが急増しているのだ。

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これに対して州知事は、ホームレス問題への取り組みが甘く、街を横切る高速183号の高架下がテントの立ち並ぶホームレス村と化していると、危機感を訴えている。さらに、オースティンよりも大きなダラスと比較して、「ダラスではホームレスはもっといる統計だが、街中で寝ていることはない。市長のリーダーシップが問われている」と指摘している。

ホームレスは地方選挙の大きな争点

国政レベルではあまり取り上げられないホームレス問題なのだが、地方選挙となると大きな争点となり、その取り扱いも難しい。ホームレス数の構成要素は多岐に渡り、純粋な比較ができず、対策の考案が困難を極めるからだ。

たとえば極寒の地域では、野宿をすれば生命の危険にさらされるので、行政が何らかのシェルターを保持していることがほとんどで、ホームレスの人数は少なく見える。さらに、ホームレスに対して手厚く保護を差し伸べる教会の存在とボランティア組織が整っているかどうかも大きな要因となる。

また、その地域独特の文化がホームレス・フレンドリーとなると、多勢に無勢で類は友を呼ぶ状態をつくる。リベラルな文化が色濃いシアトルやロサンゼルスやサンフランシスコなどにはホームレスが引っ越してくるため、その率はオースティンの比ではない。

連邦政府住宅都市開発省によると、住民10万人あたりのホームレスの人数は、オースティンが81人、シアトルは283人、ロサンゼルスが372人、サンフランシスコにいたっては493人と実に6倍以上となっている。

文=長野慶太 写真=Getty Images

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