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10年間の不登校。ゲームで磨いた能力は

「ゲムトレ」を始めるきっかけは、2019年7~8月に47都道府県で行った不登校の子供たち向けの座談会で目にした光景だった。

周りの人たちと全く話そうとしなかった子どもたちに、小幡が「ゲームしようか」と声をかけると、端にポツンと座っていた子も前のめりになってゲームを始めた。最後には、お互いの連絡先を交換して仲良く帰っていく姿を見届けた。

小幡自身、幼稚園から行き渋りがはじまり、小学2年生から中学3年生まで、約10年にわたって不登校になった。「子どもたちの姿を見て、自分もゲームを通してたくさんの友達ができたことを思い出しました。『ゲームの力』を改めて感じる瞬間でした」。

自身の経験では、社会を戦国武将や歴史にまつわるゲームから学び、読解力や判断力、情報処理能力も学んだという。中学生になっても学校にはほぼ通うことはできなかったが、行きつけのカードゲームのショップでゲーム大会を開くなどして、世代を超えた交流ができ、世界が広がったのだ。

また、小幡は全国行脚をしていたときにある座談会で行われたゲームバトルで、10歳の子どもに完敗した。

ゲームで負けることはほとんどないという小幡だが、その子は、日頃から大会に出る人たちに教えてもらって練習をしていたのだという。そこで、そもそも独学が当たり前であるゲームの世界で「教えてもらう」ことができるサービスを作ってみてはどうだろうかと思いついたのだ。座談会で全国を回る最中、要項をまとめてトレーナーを募集し始め、9月には試験的に稼働を始めた。


「ゲムトレ」のサービスに込めた思いを語る小幡和輝

ゲームのイメージが世界世の中全体で変化している流れに沿って、小幡は「囲碁や将棋の大会に出るとすごいと言われるのに、ゲームの大会となると何も評価されなかった時代は変わっていく」と期待を寄せる。

ゲームへのイメージは、世代間ギャップが生じているが、子どもを見守る保護者からも嬉しい声が届いているという。引きこもってゲームをする生活で昼夜逆転していた子どもたちが、「ゲムトレ」のために朝早くに起きるモチベーションをもち、トレーナーに教えてほしい要点をを自分でまとめてLINEで連絡しており、一つの成長を感じられるというのだ。

文=猪俣由香、督あかり

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