2009年にアリババが立ち上げた独身の日は、今では20万社を超えるブランドが参加するようになったが、初年度の参加ブランドは27社で、2017年には6万社が参加していた。
独身の日のオンラインでの取り扱い総額は昨年、300億ドル(約3.3兆円)を突破し、調査企業Forrester Forecastsは今年の取り扱い総額が370億ドルに達すると見込んでいる。今年の独身の日のイベントはさらに国際色を強め、史上空前のスケールに達しようとしている。アリババは今年、新たに100万件の新アイテムを販売するという。
米国のアドビによると、米国ブランドの4分の1が今年の独身の日に参加する見通しで、アップルやエスティーローダーもアリババと提携を結んでいる。アリババは以前から、このイベントに世界中のセレブを起用してきたが、今年の11月6日のプレイベントにはキム・カーダシアンが登場したほか、10日夜に開催されたカウントダウンイベントではテイラー・スウィフトもパフォーマンスを披露した。
調査企業「フューチャー・ブランド・チャイナ」のSophie Chengによると、独身の日においては近年、動画SNSが果たす役割が高まっているという。「イベントの成功のためにはエクスペリエンスが欠かせない。タオバオやTモールなどの買い物で、消費者はセレブとの出会いやゲームを通じた体験を期待している」とChengは述べた。中国以外の消費者はアリババのAliExpress.comを通じて独身の日に参加する。
今年の独身の日はアリババ創業者のジャック・マーが経営を退いてから最初のイベントとなる。マーは今年9月に会長職を離れていた。アリババ幹部のJiang Fanは「独身の日は今や、米国のスーパーボウルと肩を並べる規模に成長した」と語った。「米国企業にとってこのイベントは、中国市場への入口となる」
一方で、米中の貿易摩擦の影響から今年、中国人消費者の80%が米国製品をボイコットするとの見方も浮上している。調査企業AlixPartnersは先日、今年の独身の日では米国のブランドが苦戦すると予測した。
2018年の米国ブラックフライデーの売上は62億ドルに達した。さらにサイバーマンデーの売上は79億ドルで、アマゾンのプライムデーも42億ドルに到達した。しかし、これらのイベントの売上の合計はアリババが達成した300億ドルには及ばなかった。
マーケティング調査企業Edgeのアナリストは、今年の独身の日の売上成長率はやや減速すると予測している。そんな状況下においても、ライブ動画やSNSを用いるマイクロインフルエンサーの勢いは高まる見通しという。