しっかりと身体を冷やしてから、次は「SAUNA TOASTER」という移動式薪サウナへ。
本業はカメラマンだという池田晶紀さんが汗びっしょりのTシャツ姿で薪をくべ、白樺などの枝葉を束ねたもの(ヴィヒタ)で身体を叩く「ウィスキング」をしてくれた。血行促進、心身のリラックス、肌の抗菌作用などの効果があるという。
肌で感じる暑さとヴィヒタで叩かれる刺激、立ち上る森の匂い、焼けた石に水をかけたときのじゅうううという音──。なるほど、フィンランド人が日本のドライサウナにテレビがあるのをよしとしない理由がわかった。そんなものは、五感を使って瞑想状態に入っていく際の邪魔でしかない。
15分はいただろうか。芯から熱せられた身体を、湖に沈める。脳がしびれるような感覚が訪れた。
白樺の枝を使ったヴィヒタづくりのワークショップ。右から長野県八ヶ岳でヴィヒタブランド「9ヶ岳」を立ち上げた高柳祐人さん(33)と丸山大地さん(30)。インスタで随時情報発信中(9gatake)。
「メインディッシュは外気浴」
次にフィンランドの国旗のかかったテントサウナに入る。中は3段の階段状になっていて、なんとフィンランドのヘビーメタルが大音量でかかっている。
異次元空間で汗をかき、外に出ると、目の前には有名な熱波師が! ドラマ『サ道』第4話「エレガントな熱波で整う」に本人役で登場した、エレガント渡会(わたらい)さんである。なんでも現地到着が予定よりかなり早く、急遽ヘビメタテントサウナでアウフグースをしてくれることになった。
北海道・札幌スパ・サウナ「ニコーリフレ」所属のエレガント渡会さん。「熱波命」と書かれたTシャツの背には「一風入魂」とあった。
アウフグースとは、ロウリュを行ったあとに立ち上った蒸気をタオルなどであおぐ行為を指す。日本では「熱波」と呼ぶことが多く、その行為のプロフェッショナルを「熱波師」と言う。
にわかサウナーの私ですら知っているエレガント渡会さんのアウフグース(熱波)は、確かにただの風ではなく、ふわっと身体を包んでくれるようなエレガントさだった。アウフグースにも個人の性格が出るということだろうか。
しかし、テント内にいたフィンランド人のコンティオさんにとっては「アウフグースは趣味ではない」とのこと。「あれはドイツ生まれで、フィンランドではやらない。ロウリュで室内に蒸気が立ち上るだけで充分です」と流暢な日本語で答えてくれた。お国柄の違いもまたサウナの魅力ということだ。
フィンランド大使館一等書記官のアリ・ホンカネンさん(左)、上席商務官の沼田晃一さん(右から二番目)、彼らの友人・コンティオ夫妻。サウナ内でもフィンランドサウナの魅力を熱く語っていた。