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カンファレンスセッションで講演を行うインテグラル アド サイエンス(IAS)のCEO リサ・アッツシュナイダー

ブランドイメージを守りながら、ブランドに適合した環境で、ユーザーにメッセージを届ける。一見、当たり前のことのように思えるが、これが難しくなっているのが、昨今のインターネット広告だ。


デジタル広告の透明性を守るアドベリフィケーション

せっかく掲載した広告がまったく見られていなかったら。あるいは、広告を掲載したことで、かえって企業のブランドイメージを毀損することになってしまったら。インターネット広告の成長は著しいが、残念ながらこうしたリスクが常につきまとうのが現実だ。想定していないようなサイトに自社の広告が出てしまったり、ボットと呼ばれる自動化されたプログラムによる不正インプレッションがカウントされてしまったり、という事態が起こりうる。

2017年頃から世界的ブランドが続々と問題提起し、広告におけるブランドセーフティへの意識は急速に高まった。「不適切なコンテンツの周辺に掲載される広告は、ブランドの価値を下げる可能性があるから避ける」というのは今や世界のマーケターの常識。自社のサービスのクオリティと同じくらい自社の広告管理が重要であると、今では多くの企業が考えている。

しかし、厳格なブランドセーフティや投資に見合った効果を担保する、サスティナブルなデジタル広告の実現は容易ではない。そこで、広告主と消費者双方の利益を守るべく、独自の「アドベリフィケーション」を駆使して透明性の高いデジタル広告を実現するのが、インテグラル アド サイエンス(IAS)だ。

IASはアドベリフィケーション分野におけるグローバルリーダーとして、マイクロソフト、ソニー、資生堂、JALなど世界の有力企業へ、広告効果検証の枠を超えた広告の「最適化」をサポートしている。創業は2009年、米ニューヨークに本社を構えており、現在は13か国・17都市で事業を展開している。

同社は10月17日、日本のクライアントに向けたカンファレンスを開催。CEOのリサ・アッツシュナイダーが来日し、デジタル広告におけるアドベリフィケーションの重要性とIASのビジョンを語った。


リサ・アッツシュナイダーはイベントに先立ち、同社サービスの特徴や、世界におけるアドベリフィケーションのトレンドについてインタビューに答えてくれた。

ブランドメッセージを届けるために大切な3つの指標

IASのアドベリフィケーションには「3つの大きな指標」があるという。

まずは、「ブランドセーフティ(広告掲載面の品質)」。広告主のブランディングを守るためには、ポルノや薬物、著作権侵害などの公序良俗に反する、または違法なコンテンツや、ブランドイメージにそぐわないコンテンツに広告を掲載しないことが大切だ。具体的には、IASがリアルタイムで広告配信面を分析し、条件に合った配信面のみに広告を配信。また、条件にそぐわないものは、配信直前にブロックする。

「ビューアビリティ」は、広告表示回数(インプレッション)に対する、実際に見られた比率だ。同社では、業界基準の計測方法と独自の不正検出技術を統合させ、業界トップクラスのデータを提供する。ビューアビリティ・データから不正インプレッションを排除し、「広告がターゲットオーディエンス(人間)の目に触れていたか否か」を検証する。

最後に、「不正インプレッション/アドフラウド(実在する人間に届いているか否か)」。広告がボットや偽装サイトに配信されて発生するインプレッション(クリックやコンバージョンも偽装可能になり、予算が盗まれてしまう)をなくすもの。ビッグデータとセッションベースのシグナル分析を使い、インプレッションレベル、またリアルタイムで不正インプレッションを検知し遮断する。この工程を配信媒体、配信環境、クリエイティブフォーマットのすべてで行う。

また、“+1”として重要な指標に位置づけられるのが「タイムインビュー(配信された広告が累積して何秒「見られた」か)」だ。ビューアビリティ計測の最低限(MRC基準のディスプレイ1秒、動画2秒)を満たしたか否かだけでなく、実際に広告が効果を発揮できる時間(秒数)が見られていたかどうかを分析する。


指標のさらなる活用や計測対象の拡大も進める

IASは、これらの指標を正確にモニタリングして状況を把握し、リアルタイムに広告配信面を分析。条件に合致した配信面にのみ広告を掲載する、条件にそぐわない場合には配信直前にブロックするといった対策を徹底する。また、設定条件に基づいて配信先を解析して除外や絞り込みを行ったり、条件に見合う広告面にのみ入札したりといった入札前ターゲティングも行う。

こうしたアドベリフィケーションによって、広告費を優良な広告枠へ適切に投資することが可能になり、ひいては認知やコンバージョンの向上など本質的な広告効果の改善が実現できるのだ。

一方で、従来の取り組みにとどまることなく、アドベリフィケーションの向上や計測対象の拡大にも積極的だ。

例えば、IASはネスレと共同でオンラインコンバージョンについて研究しており(2019年初頭)、タイムインビューとフリクエンシー頻度(媒体接触者一人当たりの平均接触回数)をマトリクスにし、どのように広告を投資するとROIが改善するのか、詳細な分析に基づき広告予算の最適化を図った。アドベリフィケーションの指標のさらなる活用が可能になったわけだ。

今年10月には、ヤフー株式会社とパートナーシップを締結。Yahoo!プレミアム広告、および Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)のアドベリフィケーション指標が計測可能になった。こうした計測対象の拡大により、日本においてもIASの存在感はさらに増している。

CEOが見た世界/日本の広告業界の現状

世界のアドベリフィケーションのトレンドについて、同社のCEOであるリサ・アッツシュナイダーが教えてくれた。



「注目しているのは、コネクテッドTV(インターネット・コンテンツを視聴できるTVやデバイス)とOTT(Over The Top=動画・音楽配信などインターネット経由のコンテンツサービス)です。いま、アメリカでは1億人がコネクテッドTVで視聴しているともいわれている状況で、この両者で配信している広告のベリフィケーションを行いたいという要望が多いのです」。

コネクテッドTVやOTTにおける広告は、再生されるコンテンツの合間や、サービスのインターフェース上に展開され、従来のインターネット広告とは性質が異なる。こうした広告環境において何が適切なのか、調査していく必要があるという。


「最大限にROIを高めることがマーケターの仕事。我々の調査でもわかっているのですが、ブランドイメージに適したコンテンツ、また、高品質なコンテンツの隣に広告が掲載されることで、好感度とエンゲージメントは上がります」。

脳科学的なアプローチでエンゲージメントを解明

好感度とエンゲージメント。上述のカンファレンスでこれらについて詳しく語ったのが、同社のCMOトニー・マーロウだ。脳科学的なアプローチの解明を行い、これをカンファレンスで発表した。


IASのCMOであるトニー・マーロウ氏も、カンファレンスで講演を行った。

調査設計はこうだ。異なる業界の有名ブランドによる8種類の広告(バナー広告など)を、順番によるバイアスを避けるためにローテーションをさせサイトに表示(1記事内に3つの広告を表示)。好感度は、ヒトが体験する感情の“方向性”を示す。方向性がポジティブなら「好ましい」と感じられ、 そうでなければ「好ましくない」と感じる。

ここで、同じ広告でも異なる反応があることがわかった。高品質なコンテンツとともに広告が表示された時は広告をより好ましいと感じている一方で、低品質なコンテンツの場合、広告への好感度は下がった。



エンゲージメントはどうだろう。結果的に、高品質なサイトのコンテンツは、低品質なサイトと比較して、コンテンツへのエンゲージメントが20%高まることがわかった。良質なコンテンツは、そこで表示される広告にも好影響を与える。それだけでなく、記憶への残りやすさが30%高まることも判明したという。

当然といえば当然だが、改めて数字で確認するとその差の大きさが感じられる。他にも、「閲覧する広告が高品質なコンテンツに表示されていることは重要だ」と回答したのは82%。「低品質なコンテンツと並んで表示されるブランド広告は“鬱陶しい” 」に87%、「低品質コンテンツに広告が表示されるのは広告主の責任だ」に66%、「適合性の低いコンテンツに広告が表示されたブランド商品の使用を取りやめる」に65%が、「YES」と回答した。また、8割のマーケターが安全性の低いコンテンツ環境への広告投資を削除すると回答しているのだ。

デジタル広告の透明化を実現するという使命

IASがこうした研究にまで取り組むのは、デジタル広告における安全性だけでなく、適合性も追求しているからだ。「広告の安全性だけでなく、適合性という点についても広告主の意識は高まっています」とリサ・アッツシュナイダーは語る。IASの存在は、デジタル広告の世界でますます不可欠なものになっているのだ。



日本においては、CPM(広告の配信単価)やCPA(クリック単価)を重点的にみる企業がまだ多く、それが結果的に、広告主と消費者双方の不利益を招いている。IASはこうした現状を変えるべく、アドベリフィケーションを通じてデジタル広告の透明性を日本においても追求している。こうしたIASの姿勢には、サスティナブルなデジタル広告を維持することへの使命感のようなものを感じるが、その活動が多くの企業に支持される理由はまさにそこにあるのだろう。


リサ・アッツシュナイダー◎1998年よりマイクロソフトで10年間、戦略的な広告ビジネス組織を率いて製品を開発。営業面でデジタル業界のスタンダードをリードした。2008年にAmazonへ転職し、グローバル広告営業のVice Presidentに。2014年から2017年には、米YahooのCRO(最高売上責任者)を務めた。2019年より、IAS初の女性CEOとして、同社グローバル戦略を率いる。

Promoted by Integral Ad Science / Text by Forbes JAPAN BrandVoice Studio / Photographs by Miho Noro

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