テック関連の調査企業Comparitechは100万件以上のデータを流出させた28社の大手企業の事例を追跡した。そこにはアップルやフェイスブック、JPモルガンなどの事例が含まれていた。
その結果、情報流出を起こした企業の株価は平均で7.27%の下落となり、3週間後に最大の下落幅に達する傾向が見られた。また、クレジットカード情報や社会保障番号などの、センシティブな情報を漏えいさせた場合のほうが下落幅は大きかった。
しかし、流出の規模と株価の下落幅の間に相関関係は見られなかった。最も大量のデータを流出させた企業は、その後の株価の回復により、流出前よりも高値をつけていた。一方で、比較的小規模な流出事故を起こした企業の場合は、6ヶ月が経過後も株価の低迷が続いていた。
さらに、2012年より前に情報流出を起こした百貨店チェーンのT.J.マックスやソニーの場合のほうが、近年のアドビや米信用情報大手のEquifaxなどよりも、大きな株価の下落を記録していた。
近年は大手企業の情報漏えいが相次いだ結果、流出疲れと呼べる現象が起こっており、株式市場の反応が鈍くなったとComparitechの調査レポートは結論づけている。
情報流出の影響は業界によって異なっており、金融や決済分野の企業が最も大きな打撃を受けていた。一方で、ヘルスケアや小売分野の企業は全業種の中で、最も影響が少なかった。
データの流出だけでなく、サービスの一時的な停止も株価にダメージを与える。バンク・オブ・アメリカは10月29日、1時間以上に渡りサービスを停止させ、数千人の利用者が口座にアクセス不能になった。その結果、同社の株価は2%近い下落となった。