ワシントン・ポストの報道によると起訴されたのは米国籍のAhmad Abouammoとサウジ国籍のAli Alzabarahの2人で、サンフランシスコのツイッター本社からサウジ政府に対し批判的な発言を行うアカウントのデータにアクセスしていたという。
司法省が、米国内でサウジアラビアのスパイ行為を行う個人を起訴するのは、これが初めてだ。起訴状によると、サウジ政府の高官が2人の元ツイッター従業員らに接触し、スパイ活動を依頼したという。ワシントン・ポストはこの政府関係者の名前をバドル・アル・アサーケル(Bader Al Asaker)と伝えている。
アサーケルはサウジアラビア王国のムハンマド・ビン・サルマン皇太子がイノベーション促進の目的で設立した「ミスク財団(MiSK)」を率いている。
司法省は2人に加え、アサーケルと元従業員らの仲介役を果たしたAhmed Almutairiとされる人物も起訴している。AlmutairiはSNSマーケティング企業を運営し、サウジ王室の業務を手がけていた。
アクセスを受けたアカウントには、サウジ政府を批判する活動家のオマー・アブドゥラジズ(Omar Abdulaziz)のものが含まれていた。フォーブスのThomas Brewsterは昨年11月の記事で、アブドゥラジズの電話がサウジ政府に盗聴されたと報じていた。
アブドゥラジズは、サウジアラビア領事館内で暗殺されたとみられるジャーナリストのジャマル・カショギと連絡をとっていた。ツイッター元社員のAbouammoはシアトルで逮捕され、残りの2人はサウジアラビアに潜伏しているとみられている。
サイバーセキュリティの専門家らは以前から、サウジアラビアが高度なスパイ活動により、反政府活動家の通信を傍受していると指摘していた。
前述のフォーブスの記事は、サウジ政府がイスラエル企業のNSO Groupから特殊なプログラムを購入し、ワシントン・ポストのコラムニストだったジャマル・カショギを含むジャーナリストや人権活動家の通話を傍受していたと伝えていた。