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2019.11.09 07:00

宇宙分野で欧州トップ目指す英政府、「ヴァージン」に大型出資

ヴァージン・オービット/virginorbit.com

ヴァージン・オービット/virginorbit.com

イギリス宇宙局(UKSA)が、2021年末までの宇宙ロケット打ち上げを目指すリチャード・ブランソンの宇宙企業「ヴァージン・オービット(Virgin Orbit)」に950万ドル(約10億円)を出資すると発表した。

この資金は、ニューキー・コーンウォール国際空港に建設中のスペースポートから同社の空中発射式ロケットのランチャーワン(LauncherOne)を打ち上げるプロジェクトに用いられる。ランチャーワンはボーイング747を改造した飛行機「コズミック・ガール(Cosmic Girl)」の翼下に吊り下げられて上空に運ばれた後、空中でエンジンを起動し軌道に乗る。

「コーンウォールのスペースポートで最先端の打ち上げ施設を完成させることが楽しみだ」と、ヴァージン・オービットのCEOのDan Hartは声明で述べた。

この出資金は、コーンウォール評議会と地域産業パートナーシップによる2600万ドルの出資計画の一環だ。スペースポートは将来的に欧州の打ち上げハブとなることが期待されている。

宇宙旅行を手がける「ヴァージン・ギャラクティック」の兄弟企業であるヴァージン・オービットは、カリフォルニア州のモハベ空港でコズミック・ガールやランチャーワンのテストを行っている。2019年7月にはエドワーズ空軍基地でロケットを航空機から分離するテストに成功した。

同社は火星や深宇宙へのミッションも計画中だが、ランチャーワンは最大重量500キロのペイロードを軌道に送り込むための宇宙船で、上空1万700メートルで航空機から分離される。

ヴァージン・オービットは最終的にはモハベとコーンウォールの両方から1回あたり1200万ドルで打ち上げサービスを提供する方針だ。同社のシステムは24時間で打ち上げ準備が整うことが売りで、イギリス空軍も興味を示している。

「英国が小型人工衛星分野で欧州をリードすることを願っている」と、イギリスの科学大臣クリス・スキッドモアは声明で述べた。

イギリスではコーンウォールのスペースポートのほか、複数の打ち上げ拠点が建設中だ。他にもスコットランドのサザーランドでも垂直発射基地の建設が進んでおり、Orbexなどのスタートアップも2020年代初頭から、小型人工衛星を極軌道に乗せるプロジェクトを進めている。

編集=上田裕資

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