八村が所属するウィザーズでは、オールスターに連続出場してきた大黒柱のジョン・ウォールがアキレス腱を断裂。彼がけがから回復するまで、チームは苦しい戦いが続くと予想されている。
そんな中で、マネジメント側は八村フィーバーにあやかろうと積極的に動いているようだ。ウィザーズの営業部門を統括するジム・ヴァン・ストーンは先月、日本に出張し、日本企業9社と面会、今月も再度日本を訪れる計画だという。
NBAは今年、国際的なマーケティング活動に関するルールを緩和し、各チームに対して、最大で2つのパートナーとグローバルスポンサー契約を結ぶことを認めた(それまでは、北米以外でのスポンサー契約はすべてNBAが取り仕切っていた)。
ウィザーズは先月、NECと数百万ドル規模の契約を結び、国際パートナーシップ契約を締結した最初のNBAのチームになった。これとは別に、八村個人もNECとスポンサー契約を結んでいる。ウィザーズのパートナーとなるもう1社の日本企業も近く発表される見通しだ。
ウィザーズはNBAのチームとして初めて、日本語のウェブサイトやツイッターアカウントも開設した。ウィザーズは専門の制作チームを雇って八村のNBAでの奮闘を日本語で発信しており、ツイッターのフォロワー数は開設から1カ月で2万人に達した。
「なるべく多くのコンテンツを消費したいというのがファンの心理だというのは、私たちにも分かっていた。だからこそ、ルイの仕事について、日本の人たちにぜひとも本物の体験を提供していきたいと考えた」(ヴァン・ストーン)
彼の話では、ウィザーズの試合を観戦に来る日本人ファンも相当な数に上っていて、「チケット販売の面でまたとないチャンス」が生まれている。
チケット売買サイト「スタブハブ(StubHub)」によると、ウィザーズの試合のチケット販売数は前年の同じ時期に比べ17%増えており、とりわけ日本からの販売数は133%も急増している。「ルイの加入によって、今シーズンはウィザーズのファンや日本人の購入者の間で熱気が高まっている」とスタブハブの担当者は話す。
ヴァン・ストーンによれば、八村の関連グッズも飛ぶように売れている。例えば彼のジャージーは、新人選手の中でも最も売れ行きが良い部類に入るという。ファナティクスが運営するNBA公式オンラインストア「NBAストアジャパン」では、八村のジャージーがドラフト後の1カ月だけで、これまでに2番目によく売れた選手のジャージーの累計販売数よりも多く売れた。
シラキュース大のバートン教授は「日本の子どもの間では、自分たちの言葉を話し、尊敬できるヒーローが登場したので、NBAのファンになる子が増えていくのでは」と予想。「そうなれば、業界をもり立てていく上で非常に有利に働く」と述べている。