八村のスポンサーには、名だたるシューズブランドがこぞって手を挙げたという。米大手代理人事務所ワッサーマンで、ダーレン・マツバラと共同で八村の代理人を務めるジェーソン・ランが説明する。「そうした企業が顧客の裾野を広げたり、ブランドの顔にしたりできるような、世界への訴求力、影響力が彼にはあるということです」。
ワッサーマンは、大リーグでプレーするため訪米した日本人野球選手の代理人業務を長く手がけてきた実績があり、これまでにクライアントとシューズブランドの間で計10億ドルを超える契約を取りまとめている。
結局、八村がスポンサーの相手に選んだのは、先に触れた通りナイキのジョーダン・ブランドだった。今年6月に複数年の契約を結んだ後、彼は子どもの頃からジョーダン・ブランドのハイトップを履いていたと明かしつつ、日本人初の「ジョーダン・アスリート」になれて興奮しているとコメントしている。
一方のナイキ側は、ワシントン州にあるゴンザーガ大学のスター選手でもあった八村を通じて、日本と米国の両方でブランドを売り込んでいく考えだ。八村がコートで期待に応えるような活躍をしていけば、いずれ彼の名前を冠したシューズが登場してもおかしくないだろう。
ランは、ナイキとの契約を含め、八村のスポンサー契約の金銭的条件についてはコメントを控えた。
日本では、「スニーカーヘッド」と呼ばれる熱烈なスニーカー愛好家のカルチャーが発達していると話すのは、国際的なスポーツビジネスに長年携わった経験を持つ米シラキュース大学のリック・バートン教授(スポーツマネジメント研究)。
「ルイは日本人で初めてジョーダン・ブランドに選ばれた選手なので、(日本の)バスケットボールシューズマニアの間で絶大な人気を集めるだろう」(同教授)
このほど八村のスポンサーに加わったのが、時計メーカーのカシオだ。締結した複数年のグローバルパートナーシップ契約によれば、八村は同社の耐衝撃ウオッチ「G-SHOCK」の認知度を世界で高めるアンバサダー役を務め、今後、八村の名前を冠したモデルも発売される予定という。
近年、企業広告の世界で大ブレークした日本人選手には、テニスの錦織圭と大坂なおみがいる。ふたりとも、今では「最も稼ぐテニス選手」ランキングの上位に顔を出すようになっている。八村はこの世界で彼らに続くスターになったわけだ。
特に東京オリンピックが開催される来年は、3人が広告に起用される機会がますます増えそうだ。八村もオリンピックについて「とてもワクワクしている」「そこでプレーするのはずっと僕の夢の一つだった」と語っている。