米ヘッジファンドの帝王が主張する「狂った世界」に必要な増税

レイ・ダリオ(Kimberly White / by Getty Images for TechCrunch)

ビリオネアでヘッジファンド運用者のレイ・ダリオは11月5日、CNBCの取材に対し「米国は債務超過に直面しており、近い将来に連邦税の引き上げに踏み切る必要がある」と述べた。米国の公的債務総額が史上最大に膨らむ中で、民主党の大統領候補者らは税制改革の必要性を訴えている。

フォーブスはダリオの保有資産を187億ドルと試算している。彼によると、国の債務は「支払いを約束したものであり、課税の引き上げによって支払う、もしくは、デフォルトに陥って放棄するしかない」という。

米国の公的債務は22.9兆ドル(約2500兆円)に達しており、ここには社会保障や医療保険制度の費用が含まれている。ドナルド・トランプはオバマ政権時代に10兆ドルから21兆ドルに膨らんだ債務を消し去ることを公約に掲げていたが、トランプが大統領に就任以降に、債務はさらに約2兆ドル増加した。

また、2019年度の財政赤字は9840億ドルに達し、前年度から26%の増加となった。2020年の米大統領選に向け、民主党の候補指名獲得を目指すエリザベス・ウォーレンやバーニー・サンダース、カマラ・ハリスらは税制改革の必要性を訴え、トランプが実施した減税策を無効化することや富裕層への課税強化を主張している。

伝統的に重税化に反発する共和党議員らも、勤労所得税額控除(EITC)の拡大などによる低所得者層の支援の必要性を提案している。

民主党議員らの税制改革案は国民皆保険制度の実現や、大学教育の無償化、児童養育費の無償化を目指しており、ブルームバーグによるとそれらの実現に向けては30兆ドル以上のコストが必要になるという。

レイ・ダリオは11月5日、次のように発言した。「世界は狂った状態に突入し、システムは崩壊している。その理由は機会の平等が保障されていないからだ。システムがうまく機能するための改革が必要だ」

ダリオは世界最大のヘッジファンドであるブリッジ・ウォーター・アソシエイツを1975年に創業した。彼はJPモルガンのジェームズ・ダイモンや、スターバックス創業者のハワード・シュルツ、ビル・ゲイツらと共に、米国の富の不均衡を是正する必要があると訴えている。

編集=上田裕資

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