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伝統は繋いでいくことで何よりの資産になる。1811年創業の歴史あるシャンパーニュメゾン、ペリエ ジュエで、26年に渡り7代目最高醸造責任者(セラーマスター)を務めるのが、エルヴェ・デシャンだ。


「祖父母がブドウ畑を持っており、小さい頃からブドウに囲まれて育ちました。シャンパーニュの仕事をするようになったのは自然な流れだったと思います」。

シャルドネの聖地と言われるコート・デ・ブラン地区で育ったエルヴェが、導かれるように入社したのは、シャルドネをシグネチャーとし、世界初のブリュット(辛口)シャンパーニュを開発したことで知られる名門「ペリエ ジュエ」であった。

エルヴェが着任してから、93年にはプレステージラインの「ベルエポック ブラン・ド・ブラン」、2013年にはクラシックラインの「ブラン・ド・ブラン」をリリースするなど、伝統を受け継ぎながらも、ペリエ ジュエのシャルドネのイメージをさらに強く打ち出していった。

「ペリエ ジュエのスタイルというのは、まさにシャルドネを生かしていく作り方です。フローラルで、白い果実の風味と酸味、細かい泡が弾けるのがシャルドネの特徴ですが、シャルドネ100%のブラン・ド・ブランはもちろん、シャルドネが20%のグラン ブリュットも、40%づつ使用するピノ・ノワールとピノ・ムニエはシャルドネを引き立てるために使用しています」。

歴代7人目のセラーマスターとして第一にしてきたことは「ペリエ ジュエのクオリティとスタイルを守ること」と語るエルヴェ。だが、同時に安定した品質を維持するために新しい技術を導入することも忘れない。現在は醸造所内にラボラトリーを設け、様々なワインの分析を行うとともに、タンク温度を調整し、酵母を効率的に使えるような改革も行なっている。

「前セラーマスターのアンドレ・バブレからは、収穫した直後にワインをテイスティングする時は、その段階で最も表現力が強いワインが必ずしも最良のワインにはならないということを学びました。成熟した後の繊細性を見出さなければならない。先を読んでいくことが必要な仕事です。また毎年同じものを違う要素から作らなければならないというのがチャレンジであり、面白さでもあります」。

セラーマスターは冬には地道なテイスティングが続く過酷な仕事でもある。自分の味覚を整えるため、食事や香水の使用に制限を課すなど、自らを律する日々を送るエルヴェだが、大切にしている習慣は「自らを感動させること」だと語る。



「私のする仕事というのは自分自身のためにする仕事ではなく、感動を与え、多くの人がよい時間を分かち合ってもらうための仕事です。シャンパーニュを開けた時の喜びの時間が広がることをイメージしながらシャンパーニュを作っています」

自らの感性を刺激するために芸術を嗜み、好きな映画はチャップリンの「モダンタイムス」、音楽はヴィヴァルディの「四季」だという。

「私たちは機械ではないので、時にストレスに見舞われます。ですが、感動によってストレスを超えていくことができる、別のものを生み出すことができる、ということをシャンパーニュを囲む時間で感じてほしいです」。

シャンパーニュを通じて感動を共有するというのはメゾンの姿勢にも通ずるものだ。ペリエ ジュエでは芸術を愛した創業者の理念もあり、蒸留所では貯蔵庫に至るまで現代アートの作品が飾られるほか、デザインイベントへのサポートも多く行なう。驚きを創造し、その感情を人々に伝えることが大切であると思っている証しであり、その思想はエルヴェをはじめとする造り手にもしっかりと受け継がれている。

セラーマスターとしての任期完了が近づき、すでに引き継ぎのステージに入っているというエルヴェに、次のセラーマスターに受け継いで欲しいことを尋ねると「ペリエ ジュエのスタイルと歴史」を挙げた。

「ペリエ ジュエは自然と芸術を愛したピエール・ニコラ・ペリエとローズ・アデル・ジュエにより設立しました。日本の人々にも馴染深い、ジャパニーズ・アネモネが描かれたエミール・ガレのボトルや、想像力と才能に満ちたアーティストたちとのコラボレーションも行なっています。こうした歴史やスタイルを理解することで、彼女がまたさまざまな人にペリエ ジュエの魅力を発見したいと思ってもらえる伝え方ができるようになるでしょう」。

伝承されるスタイルが、次世代ではどのように発展していくか。ペリエ ジュエがこれから刻む歴史にも期待が高まる。

メゾンの歴史と伝統を象徴するボトルデザインへリニューアルした「ペリエ ジュエ クラシックライン」。このボトルデザインは、メゾンで最初のプレステージ・キュヴェ「ブラゾン・ド・フランス」に由来し、長く細身のネックと柔らかく丸みを帯びたショルダーラインを持つ。直線的なスタイルがモダンとされていた時代に「ペリエ ジュエ」はあえてこの伝統的なボトルデザインを採用することで革新的精神を示した。メゾンの象徴であるアネモネも新しいボトルデザインでより印象的に用いられている。
左から、ペリエ ジュエ グラン ブリュット
フレッシュで繊細な味わいとフローラルな香りが特徴的なメゾンの伝統を現在に受け継ぐブリュット・シャンパーニュ。希望小売価格:7,050円(税別)
ペリエ ジュエ ブラゾン ロゼ
サーモンピンクの輝きの中に赤い果実のアロマが際立つ、芳醇なフルボディの味わいを持つロゼ・シャンパーニュ。希望小売価格:8,700円(税別)
ペリエ ジュエ ブラン・ド・ブラン
フローラルでありながら繊細で、シャルドネらしい活き活きとしたフレッシュさを備えたシャルドネ100%のキュヴェ。希望小売価格:13,400円(税別)



ペリエ ジュエ
https://www.perrier-jouet.com/ja-jp

Promoted by ペリエ ジュエ / 文=児島 麻理子 / 写真=五十嵐 真

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