ビジネス

2019.11.09 19:00

単なる役得ではない 米企業幹部の強欲に寄り添う「Perks」の実態

Getty Images


このたび、ラスベガスの観光局の局長、ロッシー・ラレンコッターがPerksをめぐって逮捕された。ラスベガスの観光局は、おそらく世界最大の権威をもった観光局で、委員は、各メガリゾートのCEOやネバダ州知事、ラスベガス市長などの重鎮で構成される。
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たとえば、去年、初めてラスベガスにプロホッケーチームを誘致したり、あるいは、プロフットボールのレイダースをオークランドから引っ越させたりなど、各ホテル独自ではできないことを、チームラスベガスとして交渉している強力な組織だ。

それでも非営利団体なので、局長の報酬は年収1億円を超えることはなかったが、ラレンコッターは不当に私腹を肥やした罪で逮捕された。

観光局は、ラスベガスをハブとするサウスウエスト航空との提携キャンペーンで、同航空に6年間、毎年約2000万円の広告費を払っていた。見返りに、同航空は、観光局にギフトカードを6年で900万円分寄贈していたが、このうち、局長のラレンコッターが160万円(6年分だとしたら、年に27万円)を私的旅行に使っていたという容疑によるものだ。
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ラレンコッターは、引退後も、観光局に対するコンサルティング報酬(実態は不明)として年間1800万円ももらうような待遇を保持しており、年に27万円の私的旅行で逮捕されるとはとてもせこい話だ。

しかし監査法人も、各種組織内委員会もこの不正を見抜けず、地元新聞が一大スクープとしてすっぱ抜いて始めてわかったことであり、Perksがこの透明会計時代に不正の温床となっており、収まらない金銭欲への緩和剤となっていることを改めて浮き彫りにした。

翻って、「秘書、個室、専用車」の3つだけで満足する日本型Perksが長続きすることを、日本という国のために願いたい。

連載:ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信
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文=長野慶太

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