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2019.11.09 19:00

単なる役得ではない 米企業幹部の強欲に寄り添う「Perks」の実態

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アメリカの多くの企業は、12月末を年度末にしているので、この季節、来年の予算づくりで右往左往する。その際に揉めることのひとつに、幹部や役員の報酬がある。

あいかわらずアメリカのCEOの報酬は、諸外国からみても異常と思えるほど高い。かつて、市場原理を主張するブッシュ(息子)大統領でさえ報酬の異常な高さを憂い、「企業の役員会は役員報酬の合理性に十分目を光らせるべきだ」と警告した。もちろん、それなくしてアメリカの強さは維持されないという趣旨でだ。

中産階級の生活の向上を訴えて当選したオバマ大統領になり、国民は大きく期待したが、この役員報酬については、私企業の純然たる経営行動なのでほとんど手を打つことはできず、2011年には「ウォール街占拠運動」さえ生み出した。


2011年の「ウォール街占拠運動」(Getty Images)

今日、上場企業の開示義務がいっそう厳しくなり、役員の報酬は報酬委員会が設置され、その適正が判断されるが、当の役員によって招聘された委員たちが、ことさらに報酬の高さを不適切だと指摘するケースはとても少なく、今後も流れは変わりそうにない。

幹部の報酬はマーケットプライス

かつて、GE(ゼネラル・エレクトリック)の会長だったジャック・ウェルチが自著で力説したように、幹部の報酬はマーケットプライスだから、そもそもそこに介入しようとする行為は間違っているという主張は、確かに合理的ではある。マーケットプライスを払わなければ、幹部を失うことになり、企業の収益性を損なうと言う意味でだ。

正直なところ、もらう方の金銭欲は、もらえばもらうほどさらに増幅するようで、とどまるところを知らない。CEOが報酬第一主義なら、それに続く幹部もそれに影響される。

しかし、良い人材を確保するのは金だけではない。アメリカの人事政策上、大切な言葉がある。「Perks(パークス)」というが、これがまた日本語にしにくい。「役職者の特典」、または「役得」といったところだろうか。ストックオプションのようなものかと言われがちだが、そんなものではない。
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文=長野慶太

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