同社の方でもこれまで、問題を解決するためいくつか取り組みが行われてきた。10月からは新たなトレーニングが導入されたし、同社の差別・ハラスメント予防方針を改善するため米非営利団体(NPO)の「レイプ、虐待、近親相姦に対する全米ネットワーク(RAINN)」と協働したり、従業員のための無料匿名ホットラインを開設したりしてきた。
しかし一部の人にとっては、こうした取り組みも十分ではなかった。米国の31の州の政府関係者115人は9月後半、労働者をよりきちんと保護するよう求める手紙をイースターブルック宛てに送付した。また米国会議員の一部も、同社宛てに同じような手紙を複数送っている。
セクハラの問題に対処しているファストフード企業はマクドナルドだけではない。米国の世論調査企業ハート・リサーチ・アソシエーツ(Hart Research Associates)が2016年に発表した米国の調査では、ファストフードチェーンで働く女性の40%が職場でセクハラに直面したことを報告している。しかし、マクドナルドは規模が非常に大きいため、それだけ大きな注目を集めている。
セクハラの問題は間違いなく、レストラン企業がうまく対処すべき繊細な問題だ。性暴力やセクハラを告発する「#MeToo」運動が勢いを得始めた約2年前から、セクハラ疑惑によってマリオ・バターリやジョン・ベッシュ、マイク・イザベラなどレストラン界の著名人が失墜してきた。こうした影響を受け、企業はようやく、セクハラに関する方針とトレーニングモデルに優先的に取り組むよう強いられるようになった。
マクドナルドにとっては同意があったかどうかにかかわらず、上司が会社の方針に違反している中で、会社が真の進歩を遂げていると主張することは難しい。ヤフーファイナンスが3日に報じたところによると、マクドナルド社はイースターブルックが「会社の企業文化を進化させた」とする文言を既に同社ウェブサイトから削除している。それもおそらくこのためだろう。
マクドナルド米国の社長がCEOに
CEOの役割を引き継いだのは、マクドナルド米国のクリス・ケンプチンスキー社長だ。ケンプチンスキーは2015年に、米食品大手クラフト・ハインツの前身であるクラフト・フーズから同社に入社した。ケンプチンスキーの後任には、2002年にマクドナルドに入社し、国際運営市場(IOM)部門の社長を務めていたジョー・アーランガーが任命された。
ケンプチンスキーは米紙ウォールストリート・ジャーナルの取材に対し、「急激な戦略的転換はない。計画は機能している」と語った。一部のアナリストらは第3四半期の報告を受け、同社の状況に楽観的だった。今後もそれが続くかどうかは分からないが、ケンプチンスキーが言及した「計画」に文化変革が含まれる限り、彼のコメントは現時点での頭痛の種を少し緩和してくれるはずだ。