イースターブルックは2015年に同社CEOになってからというもの、フードサービス業界の競争が激化したにもかかわらず、劇的な方向転換を先導してきた。CEO就任時の株価は100ドル(約1万1000円)弱を推移していたが、現在では200ドル(約2万2000円)弱で、ピークを迎えた8月には221ドル(約2万4000円)まで上昇した。また同社は今年の第3四半期、17四半期連続で既存店売上高を増加させている。
マクドナルドのこれまでの成長は、オペレーションから店舗のデザイン、デジタルチャネルまで、全システムの包括的な変革によりけん引されてきた。同社は、利便性を強く求める消費者需要の成長を満たすため、ブランドの現代化支援のための買収に今年だけでも数億ドル(約数百億円)を投入してきた。これには、ドライブスルーでの注文を個人に合わせたものにするため機械学習技術を使用する企業、ダイナミック・イールド(Dynamic Yield)の3億ドル(約330億円)での買収が含まれている。
同社の積極的で大掛かりな変革には、フランチャイズ加盟店の一部から反発も寄せられ、2018年後半には全米オーナー協会(National Owners Association)が結成された。しかしイースターブルックはそれ以降、同社とフランチャイズ加盟店との関係は良好になったと述べている。実際、フランチャイズ加盟店のキャッシュフローは11四半期連続で増加している。
セクハラがまん延するレストラン業界
同社がこうした進展を遂げる中、2人の成人の間での合意に基づいた関係が、なぜイースターブルックの解任につながるのかと思うかもしれない。実際、複数の報道機関のコメント欄に目を通すと、多くの人がこの点を疑問に思っているようだ。しかし、マクドナルドが近年直面したセクシュアルハラスメント問題を考慮すれば、その答えは明確だ。
ハーバード・ビジネス・レビュー誌によると、レストラン業界で働く女性の実に90%、男性は70%が何らかの形でセクハラを経験すると報じられている。しかし、セクハラがまん延するこの業界でもマクドナルドは見出しを独占してきた。
イースターブルックがトップを務めた2015年から18年までの間、同社にはセクハラに関する苦情が全部で50件寄せられている。また、10都市のマクドナルドで働く従業員は2018年、この問題に関する同社の対応に進展が見られないことへの抗議としてストライキを実施した。