ついに黒船上陸──学費無料の仏発エンジニア養成機関「42」東京校が来春オープン

来年4月に開校が予定されている「42 Tokyo」


卒業生が次の生徒を支えるエコシステムを形成したい

非常に魅力的な学習システムを提供している「42」だが、申し込めば誰でも入学できるわけではない。「42」にはフランス語で“スイミングプール”という意味を持つ入学試験「ピシン」が用意されており、その試験で好成績を収めた人が入学可能となる。

「この“ピシン”には『スイミングプールで溺れないように4週間、必死にもがいてくれ』というメッセージが込められています。実際、4週間の間に試行錯誤を繰り返し、失敗しながらもがき続けた学生のみが合格する仕組みです」

具体的には初日に試験の説明を受け、セキュリティカードを渡されたら、試験が終わる4週間後までは自分の好きなライフスタイルで試験を受けられる。長谷川は「強制力がないので、すごくセルフマネジメントの力が求められる」という。


「42 Tokyo」事務局長の長谷川文二郎

「42が自分に合っているかどうか。4週間でそこに見つめ合う時間が生まれ、学校も生徒もお互いのモチベーションがどれくらい保てるかを正確に測ることができる。非常に良い仕組みだな、と思います」

誰にでも門戸は開いているが、4週間もの時間を全ての人が確保するのは難しい。一体、どれくらいの時間を割けば合格に近づくのか──長谷川は自身の経験を踏まえ、こう語る。

「自分はほぼ初心者の状態で試験を受けたのは、1日20時間くらい向き合っていましたね。ただプログラミングに関する素養があれば、効率的に進められるので、1日8時間くらいは割いていただければ合格に近づのではないかな、と思います」

日本では1カ月に309名を対象にピシンを実施。それを3カ月行うので、合計927名が試験を受けられる予定だという。今のところ最終合格者の数は予測がついていないそうだが、「150名を割ると生徒同士で教え合う仕組みが機能しない」らしく、最低でも第1期で150人は入学することになるとのことだ。


DMM.com会長兼CEOの亀山敬司

亀山は発表会の最後に、「42 Tokyo」の今後について「立ち上げから5年くらいはDMMでサポートしつつ、将来的には42 Tokyoの卒業生が優秀なエンジニアになり、収入をあげていく。そんな卒業生たちが収入の一部を42 Tokyoに寄付し、次の生徒たちを支える。そんなエコシステムが構築できたらいいな、と思います」と展望を語った。

経済産業省が発表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によれば、2030年にはエンジニアは約79万人不足すると予測されている日本。「42 Tokyo」は日本のエンジニア育成の環境を変えるのか。来春のオープンが今から楽しみだ。

文=新國翔大 写真=DMM.com提供

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