テクノロジー

2019.11.06 10:10

「失望売り」から抜け出せないツイッター株、年初来安値続く

ジャック・ドーシー(Photo by Victor Boyko/Getty Images for Chrome Hearts)

ジャック・ドーシー(Photo by Victor Boyko/Getty Images for Chrome Hearts)

ツイッターのジャック・ドーシーCEOは10月30日、同社のプラットフォームでの政治広告掲載を取りやめると発表した。批評家は概ね高い評価をしている一方で、株価は10月24日の決算発表後から冴えない展開となっている。

政治広告の廃止がツイッターの業績に与える影響は限定的だと思われる。同社のネッド・シーガルCFOは先週、2018年の米中間選挙時における政治広告の収益が300万ドル以下だったことを明らかにした。

ツイッターの2018年第4四半期の売上が9億900万ドルであったことから、中間選挙の政治広告収入が同期売上高の0.5%に満たないことがわかる。

「我々は、政治広告のみならず、広告事業全般について原理を重視している。数字を見れば、1回の選挙が我々の業績に与えるインパクトの小ささがわかるだろう」とシーガルは述べている。

政治広告廃止を発表した翌日、ツイッターの株価は一時値を上げたが、その翌日には再び下落した。その前週には第3四半期の業績に対する失望から株価は20%下落し、現在は年初来安値近辺で推移している。

投資家の多くが政治広告廃止にあまり関心を示さない一方で、これまでツイッターに批判的だった政治やメディアの関係者はドーシーの決断を高く評価している。

「政治的なメッセージはお金を使って拡散するものではなく、自らの力で広めるべきものだ」というドーシーの発言は、彼の最大のライバルであるフェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOに対する警告と受け止められている。この数週間、ザッカーバーグはこれまでにない規模で表現の自由やアメリカ的価値観を訴えるメディアキャンペーンを展開し、政治広告で虚偽の主張を行うことを認めるという自身の判断を擁護してきた。

2018年の中間選挙では、政治関連の広告支出は比較的少なかったが、今年は増加傾向にある。民主党の主要候補らは、ツイッターのプロモーションに既に100万ドル近くを費やしていることがフォーブスの調査で判明している。

トランプはツイッター広告に7000ドル支出

2018年6月以降、大統領候補者がツイッターの政治広告に費やした金額は、合計で360万ドルを超える。最も多かったのはカーマラ・ハリスとエリザベス・ウォーレンで、支出額はそれぞれ110万ドルと90万2200ドルだった。トランプ大統領は7000ドル以下だった。

フェイスブックにとって、この問題はもう少し複雑だ。「我々が金儲けしか考えていないから政治広告で自由な主張を認めていると批判するのは的外れだ。当社の売上に政治広告が占める割合は、来年0.5%を下回るだろう」とザッカーバーグは第3四半期の決算発表で述べた。

フェイスブックの法務顧問であるコリン・ストレッチは、公聴会での宣誓供述で、2016年の大統領選に先立ってトランプ陣営とクリントン陣営がフェイスブックの政治広告に合計8100万ドルを費やしたと述べた。

政治広告の収益がフェイスブックの売上に占める割合が小さいとはいえ、同社はこれまでターゲット広告エンジンの性能を示す例として政治広告を挙げてきた。フェイスブックの公式サイトには、政治広告を用いて選挙に当選した事例を紹介するページがあったが、「The Intercept」によると、2016年の大統領選挙後に同社はこのページを密かに削除しようとしたという。

「ビジネス的観点で見れば、政治広告の問題が不相応に大きく取り扱われていることは明らかだ。我々は、政治的スピーチを重視しているからこそ政治広告の掲載を継続するのだ」とザッカーバーグは決算発表で述べていた。

編集=上田裕資

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事