社員の平均歩数で配当金が決まる保険も。「健康経営」を実現する方法

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その一方で、実践する上では、どう取り組んでよいかわからないという企業の声は少なくなさそうだ。


[出典]東京商工会議所「健康経営に関する実態調査 調査結果
P.5「(Q4)健康経営を実践するにあたり、課題になる(なっている)と思うのはどれですか?(複数回答)」より作成
※回答者は「健康経営」に関する一定の説明を詠んだ上で回答(複数回答)

※「健康経営(R)」はNPO法人健康経営研究会の登録商標

保険を使った「健康経営」も一策

従業員の健康増進を考えたとき、「保険」の切り口から思いつくのは、最近相次いで発売されている健康増進型保険を利用するという手だ。

健康増進型保険は、保険契約加入後に健康増進した際に、保険料を割安にしたり、キャッシュバックしたりするなどのインセンティブがあるしくみの保険のこと。たとえば、団体型で会社ぐるみで入ると、従業員の健康増進をバックアップしながら企業の福利厚生を充実できる効果がある。

たとえば、メットライフ生命の全員加入形態の新医療保障保険(団体型)の例では、従業員(被保険者)の1日あたりの平均歩数によって、受け取れる配当金が変動する「歩数実績配当方式」を選ぶことができる(商品名「あなたと会社の健康計画」)。

配当金は、保険会社が業務を行っている中で剰余金が発生した場合に、保険契約者に毎年分配するお金のことだ。新医療保障保険(団体型)は、団体の人数規模や保険金・給付金の支払状況に応じて配当金額が決まるが、「歩数実績配当方式」を選んだときは、上記に加えて被保険者の1日あたりの平均歩数実績を配当金の計算基礎に用いる。例えば、図4の例では、被保険者全員が1日あたり平均8,000歩以上を歩いた際に、より多い金額を受け取ることができるしくみになっている。


※メットライフ生命「あなたと会社の健康計画」の例 取材内容をもとに筆者作成

歩数の計測・集計にあたっては、スマートフォン向けアプリ(kencom x ほけん)を使用する。歩数を伸ばすためのイベントも予定されるなど、楽しみながら実現できるしかけが盛り込まれた、DeNAグループが提供するアプリを利用する。

アプリには、健康リテラシーを高めるヘルスケア情報と、自然に楽しんで取り組めるゲーム性の高い健康プログラムに加え、個々人の将来の生活習慣病の発症リスクを確認し改善方法をシミュレーションできるコンテンツもこの11月に組み込まれる予定だ。この保険を契約した企業の従業員およびその家族が無料で利用できる。

このように、会社が健康増進型の団体型の保険を導入することで、従業員としては職場の仲間同士で自然と楽しく健康増進活動に取り組むことができ、会社としては医療保障による福利厚生の充実に加えて「健康経営」を推進することができる。

このほか、保険会社はもともと健康支援サービスに力を入れているところが多い。メットライフ生命の例では、セカンドオピニオン相談や健康生活相談など、商品付帯の電話相談サービスなどが無料のほか、団体保険契約者向けに「健康経営アシストパック紹介サービス」(有料)として「ハラスメント受付・相談サービス」「法律相談サービス」「人事・労務ホットライン」「こころの専門医セカンドオピニオンサービス」を用意。企業等における「健康経営」の推進に活用できる(提供は、提携サービス会社による)。

「健康経営」の実践方法に迷ったときは、合理的な一手段として、団体型の保険の活用も視野に入れてみてはいかがだろうか。

文、図表=竹下さくら

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