イノベーション・エコシステムの内側

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昨年、ベンチャーキャピタリスト仲間と一緒に、シリコンバレーからイスラエルに視察に出かけた。それからというもの、この国に対する興味がますます強くなっている。日本に帰国して、企業で講演などをする場合にも、必ず話題となるのがイスラエルのスタートアップへの投資やコラボレーションだ。

世界一のイノベーションの聖地であるシリコンバレーは、スタートアップのバリュエーションが高すぎるので、投資をしにくいのが現状だ。それに比べると、イスラエルのスタートアップは、世界最高峰のテクノロジーとグローバルスケールのポテンシャル保持しながら、そのバリュエーションはそれほど高くないので、投資の検討に入りやすい。

新しいサービスやプロダクトを次々と生み出すイスラエル企業と日本の企業がコラボレーションし、世界に向けたイノベーションを発信していけばという思いもあり、この国の最新事情に詳しい人たちに話を聞き、まとめてみた。ここには、日本企業の未来を切り拓く学びが、凝縮されている。

貴重な話を聞いたのは、在イスラエル日本国大使館経済担当書記官の栗田宗樹氏、イスラエル大使館経済部公使のNoa Asher(ノア・アッシャー)氏、イスラエルを拠点に弁護士として働くTMI総合法律事務所の田中真人氏の3名。まずは、彼らからの話をもとに、イスラエルという国の現在の姿と未来への魅力を、私なりにまとめてみた。

Startup Nationになった理由

イスラエルは、国土面積は四国と同程度、人口は約900万人でありながら、6000以上のスタートアップ企業がひしめいている。国を挙げてスタートアップの育成に取り組んでおり、ユニークなエコシステムが存在し、90社を超えるアクティブなベンチャーキャピタルもある。

また、人口に対するエンジニアの比率は世界一で、R&D施設では350社にも及ぶ多国籍企業と共同事業を行なっており、GDPに占めるR&D支出も世界第2位を誇っている。

では、なぜイスラエルは、このようなスタートアップ大国となったのか。理由としては、「接続性(Connectivity)」と「失敗を受け入れる文化」の2点が挙げられる。

まず、接続性だが、人と機関と政府間の繋がりが強く、業界間でアイデアの交換やコラボレーションがしやすくなっている。産学の関係も緊密で、市場が必要とする多くのソリューションは学界から提供され、新しいビジネスを生み出すための画期的なテクノロジーを導入する方法の1つとなっている。

イスラエル政府は、他分野同士の関わりを奨励し、強化する支援プログラムを確立することにより、イノベーションを促進し、業界をリードする役割を果たしている。

文=森若幸次郎 / John Kojiro Moriwaka

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