ビジネス

2019.11.07

VRオキュラス創業者が語る米国にとって「理想の刑務所」

パーマー・ラッキー/Getty Images

弱冠19歳でVRデバイス企業「オキュラスリフト」を始動させ、2014年にフェイスブックに30億ドル(約3260億円)で売却したパーマー・ラッキーは現在27歳だ。

ラッキーは現在、軍事用VR技術を開発する「Anduril Industries」を運営し、攻撃用ドローンや監視システムを米国の軍や移民税関捜査局(ICE)に販売している。 同社の企業価値は10億ドルに達する勢いだ

先日、デトロイトで開催されたフォーブス「30アンダー30」サミットの会場で、ラッキーは次のように発言した。

「他の領域のビジネスとしては、非営利の刑務所の運営にも関心がある。それと、石油からタンパク質を取り出して食品を作る合成食品分野も興味深い」

ラッキーによると、石油から生み出されるポリマーで食品を作ることは十分可能で、そのクオリティはインポッシブルバーガーやビヨンドミートなどの食物由来の人工肉を上回るという。

「肥満が人類に重大な脅威となっていることは明らかだし、自分は太り過ぎが原因で死ぬかもしれないと思っている。でも、カロリーゼロの食品を生み出すことは可能なんだ」と彼は話した。「食欲を満たしたいけれど、太るのは嫌だ。そう考えた場合に、一番ベストな選択肢が、石油製品で食料を生産することだ」とラッキーは続けた。

彼はいく度かの実験を通じ、このアイデアが実現可能であることを突き止めたという。しかし、これをビジネスにする場合、マーケティング面で巨大な困難が待ち構えていることに気づいたという。「石油で出来た食べ物なんて、誰も欲しがらないだろう」とラッキーは続けた。

彼のとりとめもない話は、非営利で運営される民営の刑務所システムにも及んだ。

「営利追求型の民営刑務所は囚人をできるだけ長く、塀の中に閉じ込めておこうとするし、社会復帰を支援することは無い。なぜなら、それが彼らの収益源だからだ。つまり、刑務所の運営を営利企業に任せていたら、いつまで経っても根本的な問題が解決できないことになる」

刑務所の民営化をやめる州も

2016年の米国司法省の報告によると、民営刑務所での暴力事件発生率は、公営刑務所よりも高く、オペレーションの透明性も確保されていないという。カリフォルニア州では先日、民間企業による刑務所の運営を停止する法案が採択され、他の州でも安全上の理由から民営刑務所の利用をやめるケースが起きている。

ラッキーの考えでは、仮に非営利の刑務所だけが存続を許され、囚人が社会復帰することにインセンティブが与えられるとしたら、社会はより良い方向に変わるという。営利追求の民営刑務所を廃止し、非営利型のオペレーションに移行するというアイデアは、1997年にリチャード・モランによって提唱され、刑務所改革を推進する人々から支持されてきた。

「この仕事をぜひ、誰かにやってもらいたいと思っている」とラッキーは話した。「何故なら、自分にはジャック・ドーシーやイーロン・マスクのように、複数の事業をマルチタスクでこなす才能が無いからだ」と彼は続けた。

編集=上田裕資

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