グーグルは11月1日、ウェアラブルデバイスメーカーのFitBitを21億ドル(約2270億円)で買収したと発表した。同社は長年、ウェアラブルOSの「Wear OS」に磨きをかけてきたが、ようやくその努力がフィットネスやヘルス領域で実を結ぶかもしれない。
アップルはアップルウォッチやiPhone、AirPodsなどのデバイスを緊密に連携させることで、ウェアラブル市場のリーダーとしてのポジションを固めた。しかし、現状で170億ドルのこの部門の売上は、将来的な規模から考えるとごくわずかなものだ。
ウェアラブルが最大のポテンシャルを発揮するのは、フィットネスとヘルス領域だが、この市場は世界で4.2兆ドル規模とされている。スマホ分野で近年は自社製端末に注力し、アンドロイドOSを最高の形でデバイスに統合する動きに出たグーグルは、ウェアラブルやスマートウォッチにおいても、同様な試みに打って出た。
グーグルは2014年にウェアラブル専用OSの「Android Wear」を立ち上げ、2018年3月から「Wear OS」の名称に変更した。Wear OSの立ち位置は、グーグル全体のエコシステムの中で今ひとつ不明瞭だったが、今回のFitBit買収によりそのポジションが明確になった。
グーグルのデバイス部門のリック・オスターローは、今回の買収に際し次のような声明を発表した。「当社はPixelやPixelbook、Nestシリーズなど、多様なデバイスを市場に投じてきたが、Wear OSやその周囲のエコシステムにも注力を深めていく。今後はFitbitのチームと緊密な連携をとり、最高レベルのスマートウォッチやフィットネストラッカーを送り出していく」
FitBitを傘下に収めたことで、グーグルはウェアラブル分野でアップルと同じ土俵に立つことになる。アップルウォッチは既に、様々な健康に関わるデータを取得しているが、将来的にはさらに洗練された形で、健康のモニタリングが可能になるだろう。
これらのデータは顧客にとって有用であるだけでなく、そこからさらに別のビジネスの創出も期待される。グーグルのFitBit買収によって、ウェアラブル市場が新たな時代に突入したことは明らかだ。