同プランは、VCから資金調達前であるシード期のスタートアップが大きな負担を感じることのない金額感での全体価格設定となっており、手数料が「区分数」を問わず共通である点が大きな特長となっている。商標出願において、手数料は「区分数」に応じて増額される場合が一般的だが、費用ベースの検討により本来取得すべき範囲が漏れることのないよう、手数料を共通価格にて設定しているという。

「早い段階で出願を済ませておけば、商標登録は基本的にはそれほど多くの費用はかかりません。しかし、さまざまな理由で対応が後回しになり、他社が先に出願してしまった結果、商標取得に莫大な費用が必要になってしまったケースも少なからず存在します。そして、スタートアップ企業の場合、事業が上手く行けば行くほど、後々、商標登録をはじめとする知財関連の問題はその重要性を増してきます」

商標を先に取られてしまった場合、サービス名自体を変更することを余儀無くされるケースもある。例えば、商標登録を済ませずに、シリーズAの資金調達を行い、テレビCMを放映した後に、上記のような問題が表面化した場合、追加で必要となる「ブランド変更コスト」を計算してみてほしい。「大規模な資金調達を実施し、サービス名の露出が増加していく前に、法的保護を早期に検討することが必要である」と大谷氏は語る。

スタートアップが優位性を維持していくためのオプション

ベンチャー市場への投資額が増加していく中、より大きな出資を受けてより大きな成長を目指す上で、ブランド変更を強いられる商標のリスクに目を向けることは一層重要になるとともに、特許は参入障壁として企業が築いてきた優位性に持続可能性を与えることのできる数少ないオプションの一つとなる。スタートアップが優位性を築くことはもちろん大切であるが、それを持続させることはできるのかという視点は「知財思考」と言えるだろう。

こうした点を踏まえ、大谷氏はスタートアップの知財支援に取り組むことについて、こう語った。

「私自身、まだ誰も知らない未来を創るスタートアップ起業家の方々のお話を聞く機会が増えるにつれて、自分の知らない景色を見せてくれる彼らに対して、尊敬の念を持つようになりました。そして、自身のこれまでの経験を踏まえ、何かお手伝いできることはないかと考え、商標・特許という企業の競争力に関わる部分で、起業家の方々のサポートをさせて頂いている次第です。これまで、企業価値で言えば、数千億円〜数兆円規模の企業の重要案件に取り組んできましたが、その経験をスタートアップ企業に対して全力で注ぎ込めば、彼らの成長を加速できるはず。そう信じています」

文=勝木健太 写真=小田駿一

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