大谷氏が新たに提供開始したスタートアップ向け商標出願プラン「エンジェルラウンド」

大手企業/スタートアップ企業の双方と、さまざまなプロジェクトを通じて接してきた大谷氏の立場から見て、スタートアップ企業を知財面から支援することの「醍醐味」とは何なのだろうか。

「大手企業の場合、通常、研究開発から事業化までの期間が長く、特許に関連する問題が表面化するのは5〜10年後となる場合も少なくありません。一方、スタートアップ企業の場合、業種によりますが、事業化した後の1年以内に競合他社が類似事業を仕掛けてくるケースも想定され、大手企業の場合と比べると、およそ10倍ほどの速さで特許の問題が表面化してくることもあるんです。

自社事業が変わっていく、他社が類似事業を始める、そうした自社・他社の環境が変化していく中で、いかに事業と歩調を合わせて支援をしていくかが問われます。こうした背景もあって、私にとっては、スタートアップ企業向けの知財戦略の支援は非常に『やり甲斐』がある仕事だと感じています」

スタートアップ企業による特許取得。その事例は?

実際、スタートアップ企業が特許を取得することは、他社による模倣の「抑止力」となるほか、資金調達やM&A、大企業とのアライアンスを実施する際の「コミュニケーションツール」となる。さらに、特許の権利化が完了していることによって、投資を実施する側にとっては、「出願はしているものの、権利は成立しないかもしれない」という不確実性がなくなり、よりスムーズな形で投資実行可否の検討に移ることができる。

上記のメリットを踏まえ、ここ数年では、戦略的な視点を持って特許取得に取り組むスタートアップ企業も現れてきている。以下に、大谷氏のクライアントによる特許取得の中で、代表的な事例をいくつか挙げる。

ソラコム

IoT向け通信プラットフォームを提供するソラコムは、MNOと呼ばれる移動体通信事業者(いわゆる「通信キャリア」のこと)が、今後、その通信インフラを外部の事業者に開放していく流れがあることをいち早く捉え、これからのIoTの時代に求められる新しい形の通信事業者を生み出した。通信事業者として必要な設備をクラウド上で実現することで、今後、数百億にも及ぶと言われる膨大な数のIoTデバイスからの接続をスケーラブルに可能にするシステムを構築し、この仕組みについて基本的な特許を成立させている(特許第5938498号)。

文=勝木健太 写真=小田駿一

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