ウェイモCEOが語る「完全な自動運転」実現までの道のり

ウェイモのジョン・クラフチックCEO(Getty Images)

アルファベット傘下の自動運転企業「ウェイモ」は昨年末から、アリゾナ州フェニックス郊外の公道上で、ロボットタクシーの試験サービスを開始した

同社はこのサービスの立ち上げ時には、常に人間のセーフティードライバーを同乗させていたが、今年8月以降は「乗客のみ」の運行回数を増やしている。

ウェイモのジョン・クラフチックCEOは、先日デトロイトで開催されたフォーブス「30アンダー30」サミットの場で語った。

「人間が同乗しない乗客のみのサービスの実施は、自動運転の進化において重要なマイルストーンとなる」「ウェイモの基準では、レベル4の自動運転車両は、運転免許証を持たない人を載せて、輸送を行える。仮に運転免許証が必要だとしたら、その車は自動運転ではないのだ」

クラフチックは特定の企業名をあげることは避けたが、彼がこの発言を行ったのはテスラのイーロン・マスクCEOが、完全な自動運転の実現が近づいているという楽観的見方を提示した数日後のことだ。

マスクは10月23日の決算発表時に、同社の自動運転システムの次期バージョンの準備が早ければ年内にも終了し、規制当局の承認さえ得られれば、2020年には完全な自動運転システムを市場に投入できると述べていた。

ただし、マスクによると彼が「フル自動運転」と呼ぶシステムは「自動運転が可能だが時おり人間による監督や介入が必要なもの」だという。この仕様であれば、厳密には米国のSAE(モビリティの専門家団体)及び米国運輸省が定めるレベル4や5の自動運転には合致しないことになる。ただし、マスクはテスラの自動運転を語る上でこれまで、SAEの基準を用いることを避けている。

SAEは0から5のグレードで自動運転を区分しており、レベル5であれば人間が一切介入しない自動運転を実現できる。ウェイモが現在目指すのは、高度なマッピングが行われたジオフェンス内で走行するレベル4の自動運転だ。現状では、多くの場合は人間のセーフティードライバーが同乗している。

クラフチックによると、現時点ではまだ、ウェイモが完全な自動運転を商用サービス化する時期は明確に出来ないという。「全ての準備が整うのがいつになるかは分からない。ただし、それが将来的に実現するのは確かだ」とクラフチックは語った。

編集=上田裕資

ForbesBrandVoice

人気記事