「政治広告」で激突するザッカーバーグとジャック・ドーシー

ツイッターCEOのジャック・ドーシー(Photo by Chesnot/Getty Images)

「フェイスブック」のマーク・ザッカーバーグCEOと、「ツイッター」のジャック・ドーシーCEOは、ビジネスに対する姿勢が大きく異なる。例えば、フェイスブックが実名登録を定めているのに対し、ツイッターは匿名で利用することを認めている。

2人のビリオネアは、最近論議を呼んでいる表現の自由や政治広告の是非を巡っても意見が食い違っている。ツイッターは10月30日、政治広告の掲載を取りやめると発表した。ドーシーは「政治的なメッセージはお金を使って拡散するものではなく、自らの力で広めるべきものだ」と述べた。

ドーシーの発言とほぼ同じタイミングで、フェイスブックは第3四半期決算を発表した。ザッカーバーグはこの1ヶ月間、政治広告を認めるべきとの考えを公にしている。

ザッカーバーグの意見に反対するドーシーは「これは表現の自由の問題ではない。お金の力でメッセージを拡散させることが問題なのだ。資金力にものを言わせて政治的なメッセージを拡散させると、予期しない結果を招く可能性がある。我々が基盤とする民主主義のインフラは、そうした事態に対処する準備が整っていない」とドーシーはツイッターに投稿した。

ドーシーのコメントは、ザッカーバーグの姿勢を批判したものだ。フェイスブックは政治家や候補者が政治広告で虚偽の主張を行うことを認めており、ザッカーバーグは、フェイスブックがアメリカ的価値観に基づく会社であり、物理的な危害を加える脅威がない限り、誰でも自由に主張することを認めるべきだと主張している。

「テック企業が100%正しいと認めたことしか投稿できないような世界に住みたいと思う人はいないだろう」とザッカーバーグは先日、ジョージタウン大学で行った講演で述べた。

ドーシーはその後、ツイッターに次のようなメッセージを投稿し、より直接的にフェイスブックを批判した。「広告にお金を払ってくれるのであれば、何を主張しても構わないというのは信頼できない」

2020年の米大統領選を控え、ソーシャルメディア各社は世間から大量の虚偽情報を削除するよう圧力を受けている。こうした中、2人の経営者の言い争いは世間の注目を集めている。

「ツイッターには金が無い」と笑うザッカーバーグ

ザッカーバーグがジョージタウン大学で講演をした後、ドーシーはニューヨーク市で行われた「Twitter News Summit」の場で、「ザッカーバーグの発言には大きなズレと欠陥がある。彼の言動は過去から変わってきており、ソーシャルメディアの信頼性を損なっている」と述べた。

フェイスブックのリブラプロジェクトに参加する意思があるかと聞かれると、ドーシーは即座に「絶対に嫌だ」と答えた。

一方のザッカーバーグも、ツイッターを痛烈に批判している。「The Verge」は10月1日、リークされたフェイスブックの社内会議の音声を公開したが、その中で彼はツイッターのことを次のようにあざ笑っていた。

「ツイッターも我々と同じ問題に直面しているが、彼らには十分な投資をする余力がない。我々が安全性向上のために投資している金額は、ツイッターの売上よりも大きい。だからツイッターは我々ほど良い対策が打てないのだ」

編集=上田裕資

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