AirPods Pro ノイキャン参戦、後発ゆえの勝算

AirPods Pro


フィーリングはそのままに、上質な静寂を手に入れる

“短いうどん”は、初見の印象からして別物になっていた。大きさは形が違うだけに厳密に比べにくいが、小ぶりにモリっとした感じを受ける。


ケースは正方形から長方形に。持った印象はさほど大きくは変わらない(上AirPods Pro、下旧AirPods)


突起が短くなったぶん、太っちょになった印象だ。ズレる、落ちるが難点だったAirPods だが耳の収まりは良くなった。


フォルトで装着されているイヤーパッドは「M」サイズ。そのほか大きさ違いでSとLの計3種だ。(Apple Watchが入っているようなケースに収まっている)

また、AirPods Proを検討されている方に良いかなと思った比較が、SONYの前世代ではあるが「WF-1000X」と並べてみた。


最新のWF-1000シリーズはほんの少し大きくなっているので、やはりAirPods Proの方が少しコンパクトな印象だ。

ホワイトノイズのフィーリングは、「ん、いいね」

ノイズキャンセリングのレベルは、音の打ち消し方で変わる。その設定は各社に特徴があり、ソニーで言えば「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN1」という高度に設定されたエンジンを搭載しており、アップルもH1チップとアンプの組み合わせを強く訴求している。同じメーカーでも価格帯が違えば、キャンセリングの印象も違い、その差は、ホワイトノイズに現れることもある。

ホワイトノイズとは、無音時に聞こえてくる「シャー」という、薄い、小さく微妙な音のことだ。各社進化を続けておりノイズ自体ほぼ無音に抑えられているレベルにはあるが、価格帯、メーカーによっては「気になる」レベルはまだ多い。

キャンセリングをONにした際に、圧迫に似た印象で無音が訪れる。その圧迫感とホワイトノイズはセットで耳にやって来る。これは筆者の個人的な感覚だが、beatsのノイズキャンセリングヘッドフォンは、耳全体を覆うせいもあり、強めの圧迫とわずかなホワイトノイズが感じられた。アップルとbeatsは兄弟関係にあるので、今回のAirPods Proも若干の不安が感じられたが、、。

しかしそれは杞憂だった。

ONにした瞬間に訪れる無音は、それなりの圧迫感はあるものの、心なしか「柔らか」な印象を受けた。ホワイトノイズはほぼ消されていると言っていい。この「柔らかい」という表現が合っているかは個人の感覚の差なのだけれど、少なとも、あまり質の良くないキャンセリングを知っている筆者の耳からすれば、キーンとか、シャーとかの雑音がない時点で、その空間は柔らかなものになる。


Apple HPより。“うどん”の上部(バーの上部)に外部の音を拾うパーツがあるほか、「内向きのマイクロフォンが…」とある。ソニーもそうだが、外と内で音を広い各所で最適な調整が行われているようだ。

柔らかな無音空間、そして最適化された音楽のセットはとても心地いい。税別2万7800円が高いかどうかは判断が難しいところだが、「作るなら本気で作ったよ」という心意気を感じる今回のAirPods Proに、好印象だ。

登場からスターだったAirPodsは、いくつかの不満を飲み込みながらも支持を拡大した。AirPods Proとして生まれ変わった今、ワイヤレス・ノイズキャンセリングの市場で不動の地位を取ることになるかもしれない。

文=坂元 耕二

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