ビジネス

2019.11.01

アマゾンがプライム会員向け食料品配送を無料にする理由

Andriy Blokhin / Shutterstock.com


アマゾンの1日配送サービスと同様、プライム会員にアマゾンフレッシュを無料で提供することで同社顧客の購買行動が変化し、注文や購入額が増えるかもしれない。市場追跡企業のエジソン・トレンズ(Edison Trends)が1万4000件のインターネット取引を対象に実施した調査によると、既存の顧客の間でのアマゾンフレッシュへの支出は9月までの過去1年間で平均19%増加し、同時期の注文数は28%増加した。

しかし、プライム会員は現在既に支払っている年間プライム会員費119ドル(約1万3000円)以上の料金を払うことに消極的で、アマゾンフレッシュの14.99ドルの月額料金がその広範な普及を阻む主な要因になっていることが複数の調査から指摘されている。プライム会員は「プライム・ナウ」の2時間配送を利用し、無料で生鮮食品を買うことができる点を考えるとなおさらだ。

調査会社の楽天インテリジェンス(Rakuten Intelligence)が米国の9万6000人のネット販売利用者のオンラインレシートを調査したところによると、アマゾンフレッシュの市場シェアは8月までの1年間で、前年の5.9%から3.1%まで下がっている。この市場は、アマゾンの「プライム・ナウ」やインスタカート(Instacart)、フレッシュ・ダイレクト(Fresh Direct)、クローガー、ウォルマート・グローサリー、ターゲット傘下のシプト(Shipt)の同日配送サービスなど13の企業やサービスから構成されるもので、より広範なアマゾン・ドットコムからの需要は除外するものだ。

同調査によると、アマゾンのプライム・ナウのシェアは同時期に9.7%から10.7%に伸びている。また、コストコやCVSのような小売業者の代理で食料品を配送するインスタカートはシェアが19.6%から21.5%に伸びた。ウォルマートは、店舗での食料品のピックアップや配送サービスを強化しており、楽天の調査では最も高いシェアを獲得した。

成長の鍵となる障壁が取り除かれたことで、アマゾン・フレッシュはシェアの減少から巻き返しを図り、アマゾンが既にけん引している米ネット食料品販売市場におけるシェアをさらに拡大できるかもしれない。

翻訳・編集=出田静

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