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2019.11.01

アマゾンがプライム会員向け食料品配送を無料にする理由

Andriy Blokhin / Shutterstock.com

利益に大きなダメージを受けながらも、プライム会員向け配送を1日に短縮する取り組みを実施したばかりのアマゾンが、今度は同社のプライム会員をさらに夢中にさせる試みを始めた。食料品配送サービス「アマゾンフレッシュ(Amazon Fresh)」の月額料金14.99ドル(約1600円)をプライム会員に無料提供することにしたのだ。

アマゾンのプライム会員は今後、アマゾンフレッシュと傘下のホールフーズを通し、肉・野菜などの生鮮食品やスナック、家庭用品の2時間以内の配送サービスを無料で利用できるようになる。対象となるのは、同サービスが現在提供されている米国の2000以上の都市のプライム会員だ。また、アマゾンは発注プロセスも簡略化し、プライム会員が同社のウェブサイトやモバイルアプリケーションを通して地元のホールフーズ店舗から商品を購入できるようにした。

今後の流れとしては、アマゾンフレッシュとホールフーズ配送サービスの既存顧客が最初に同サービスへの招待を受ける予定だ。同社によると、アマゾンフレッシュは最近ラスベガスやナッシュビル、オーランドなどの都市に拡大している。

アマゾンの食料品配送担当副社長で、同社に勤めて15年のベテランであるステファニー・ランドリーは取材に対し、食料品が同社の「急速に成長する事業の一つ」だと述べた。「顧客が気にいるようなサービスを見極めることは、当社のDNAに刻み込まれている。(…)このサービスはゲームチェンジャーだ。当社では(このサービスに)大きな投資をしている」

ランドリーは、これ以上の情報提供を拒否した。

アマゾンは、これから予想される生鮮食品の需要に応えるため、既存のフルフィルメントセンター(同社の配送センター)の一部を再設計するとともに、アマゾンフレッシュに特に重点を置いた新施設を開設した。アマゾンフレッシュの品ぞろえは、アマゾンのベストセラー商品や機器など非消耗品も含め拡大している。またホールフーズへの注文は、同社の実店舗で受注される。

プライム会員を満足させることが、なぜこれほど重要なのか? 調査会社のコンシューマー・インテリジェンス・リサーチ・パートナーズ(Consumer Intelligence Research Partners)の推定によると、米国のプライム会員は6月末時点で1億500万人に達し、同社で買い物をする顧客の約5分の3を占めている。

アマゾンフレッシュのサービス無料化は、本当にゲームチェンジャーかもしれない。
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翻訳・編集=出田静

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