同車の重要性を物語っていたのは、発表のためにわざわざ英国の本社から来日したジャガーのデザイン・トップ、ジュリアン・トムソン氏によるプレゼンテーションだった。会場には、数百人の一般人の他に、グランツーリスモのワールドツアー「東京ラウンド」に参戦しに来た50人の一流ゲーマーも駆けつけた。
「ビジョンGT(グランツーリスモ)」は、グランツーリスモ・シリーズ発売15周年を記念して、2013年に各カーメーカーとのコラボレーション企画として発表された。
「縛りのない全く自由な発想ができるとしたら、カーメーカーはどんなクルマが作れるか」と提案したのが、グランツーリスモのプロデューサーの山内一典氏だった。以来、メルセデスベンツ、ブガッティ、ホンダ、日産、トヨタ、BMWなどから20台以上のバーチャル車がデザインされた。その中でリアルワールドのために原寸で作られたモデルもあるが、ジャガーのビジョンGTはまだバーチャルのみだ。
東京ラウンド前日の10月25日は、ジャガー ビジョンGTが発表され、山内氏とジャガーのトムソン氏が登壇してトークセッションが行なわれた。
公開されたジャガー ビジョンGTは、ジャガー・アドバンスド・デザインがグランツーリスモのために考えた造形。バッテリーモジュールをコックピット周辺に配置することで、低重心と完全な重量配分を実現した。
外観デザインはC、D、Eタイプというジャガー歴代のレーシングカーからインスピレーションを得たとトムソンはいう。「ビジョンGTのプロジェクトは、ジャガーの若いデザイナーによって担当されています。彼らにとっては、素晴らしい伝統に触れつつデザインの限界を超えるクルマをデザインするという、一生に一度の機会です」と語る。
正直に言うと、6年前に始まった「グランツ・ビジョンGT企画」で生まれたマシンの中は、非常に美しいクルマも登場したが、そうでないクルマもあった。しかし、このジャガーは目が点になるほど美しいと僕は思う。