学位や職歴をブロックチェーンで管理 Workdayが考える新たな採用

Workdayの共同創業者兼CEOのアニール・ブースリ氏


人の動きが激しく、雇用形態も変わりつつある。

Workdayはすでに、スキルを表現する共通言語を定め、従業員が自分のスキルを表現することで企業がより正確に社員の能力とタスクを結びつけたり、社内にどんなスキルがあるのかを把握できるサービス(「Skills Cloud」「Skills Insigths」)を構築しているほか、従業員が社内にどんなプロジェクトやポストがあり、自分のスキルがフィットするかどうかを見ることができる「Talent Marketplace」も開発している。

働く側から見たWorkday CredentialsとWayToの意義について、Workdayの米国本社でHCMプロダクトマネジメントディレクターを務める宇田川博文氏は、「検証済みのアカウント情報、仕事上の情報、個人情報を自分のデバイスに保存、管理、共有できるようになる。誰とどの情報を共有するのかを個人が決められるようになり、就職の応募プロセスがスピードアップするだろう」と予想する。



職歴や学位の証明にブロックチェーンを利用する技術は、PwCも開発している。WorkdayはFortune 500企業の40%が使っている人事クラウドで、Fortune 50になるとシェアは50%だ。人事においてWorkdayの影響力は大きく、Workday Credentials発表の場では、「これが成功すれば、仕事を探している人はWayToで資格を共有できる企業を選ぶ可能性もあるかもしれない」という意見も聞かれた。

世界的にみて優秀な人材は取り合いで、顧客体験の次は従業員体験といわれている。単なる人事管理からスタートしたWorkdayのソリューションの拡大は、組織において働く人の力が強くなっていることの裏付けとも見れる。

「人が能動的に自分のスキルを活かしながら仕事ができる世界に近づきつつある。裏を返せば、このような技術を活用していない企業は、採用段階から優秀な人材が来てくれなくなる可能性も秘めている」と宇田川氏。

日本企業では人事部が人事情報を独占する傾向が強いが、会社の外でもスキルや経験を積む場が広がっている。ブロックチェーンが人事分野に入ることは、採用プロセスを高速化する以上の影響をもたらすのかもしれない。

文・写真=末岡洋子

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