決して「空気を読まない」わけではない。ただ、自分が好きなものは好きなだけ、その「個の美学」で組織の論理をさらりと上書きする……。それを気負わずにやってのけ、確実に時代に影響を与えてきたのが「デジタルPRコンサルタント」、稲木ジョージだ。
10月23日、『Forbes JAPAN』11月号(9月25日発売)の特集「真のインフルエンサーは誰だ? #インフルエンサーの研究」をテーマに、「表紙の人」稲木ジョージのトークイベントが、MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店で開催された。聞き手はForbes JAPAN Web編集長の林亜季がつとめた。
ジョージはNYを拠点とし日米欧で活躍するデジタルPRであると同時に、ジュエリーブランド「MILAMORE」の共同創業者、クリエイティブディレクターでもある。
事前に応募のあった70人あまりの読者やジョージの熱心なファンが集まり、開始時刻前から期待感に包まれた会場に本人が登場すると、林の用意した質問にテンポよく答え、ライブ感満載のトークが繰り広げられた。
「いわゆるフォロワーの多い『インフルエンサー』でなく、ジョージさんに『表紙の人』になっていただいたのは、インフルエンサーをインフルエンスしている人だからです」
冒頭、林はこう話し出した。かつて「アメリカンアパレル」渋谷店を世界一の売り上げに導いた辣腕PRで、現在は国内外の著名人のインスタグラムに頻繁に登場する「友達」であり、世界を股にかけて活躍するデジタルPRである稲木ジョージ。
「インフルエンサー」を再定義し、掘り下げた『Forbes JAPAN』 11月号特集の「顔」には、インフルエンサーという現象そのものを盛り上げてきたジョージしかありえなかったのだ。
林はまた、ジョージを表紙に「起用」したもう一つの理由を語った。PRパーソンという肩書きを超越し、ジュエリーブランド「MILAMORE」のクリエイティブディレクター、共同創業者として活躍の幅を広げているジョージは、「個としての新しい生き方」を体現する人物そのものだからだ。
人も壊れながら大きくなる
さて冒頭、林から「表紙の反響は?」と問われたジョージが「とくに外国人からは、『Forbesなんていうビジネス誌に、ジョージがなんで? フォトショップで加工したんでしょ』と信じてもらえなかったんですよ」と答えて笑いを誘うと、早くも会場は楽しげなムードに包まれた。
「本特集でも、最初は渡辺直美さんとジョージさん、一緒に出ていただこうと思ったんですが、渡辺さんから『私でなくジョージを大きく出して』、と要望をいただきました」と林が振り返った。ちなみに渡辺直美はジョージのことを「心友(しんゆう)」と称してもいる。