Dropbox新機能発表で見えた、次に目指すべき役割とは

Dropboxのドリュー・ハウストンCEO (Photo by Matt Winkelmeyer/Getty Images for Dropbox)


Dropboxは働き方の効率化を単独で実現しようとしているわけではない。ベスト・オブ・ブリードという考え方にそのヒントがある。企業や仕様にこだわらず、各分野のベストなものを活用するという考え方だ。グーグルなど巨大なプラットフォームが網羅的に仕事用ツールを提供する中、同社や競合のBox社はこの考え方を採用している。

個別インタビューに応じてくれた製品およびグロース担当バイスプレジデントのアダム・ナッシュがDropboxなりの解釈を答えてくれた。

「我々がベスト・オブ・ブリードという言葉を使う時は、個々人がそれぞれに最も使いやすいアプリやツールを使えるようにということを念頭に置いている。プレゼン資料を作成するとき、人によってはパワーポイントを使うだろうし、アップルのキーノートが好きな人もグーグルスライドが好きな人もいる。そのどれもがDropbox内で効率的に使えるよう、努めていく」


(Photo by Matt Winkelmeyer/Getty Images for Dropbox)

しかし現実はもっと複雑で、同じ人物でも類似サービスを使い分けている。時にはエクセルを、別の時にはグーグル スプレッドシートを、といった具合だ。競合プロダクトと対抗し差別化を強化しユーザの乗り換えを画策するという競争思考から、時代はもう一歩先に進もうとしている。経済圏を拡大し独占に走るのではなく、個性豊かなツールがそれぞれの個性を生かした形で共存するインターフェースが生まれてくる。

時代の移り変わりに合わせ、ユーザの奪い合いから、インテグレーションへ勝機を見出し、プラットフォームへの転換を果たす。5億人以上というユーザを抱えているDropboxは、ユーザがすでに使用しているツールをより便利に使えるよう環境を整えることで、一つの個性を作り出そうとしている。

日々多くのツールやアプリのアップデートを目にするが、今回の同社の発表は凝り固まった働き方に大きな変化をもたらすことを予感させた。しかし、より機能的になった概念をユーザがしっかり理解し、使いこなせるのか。今後はユーザの動向にも注目したい。

文=井上貴彦

ForbesBrandVoice

人気記事