ビジネス

2019.10.30

異業種の融合──食とスポーツが生み出した、新たなパートナーシップの形

(左)フェンウェイ スポーツ グループのフェンウェイ スポーツ マネージメント(FSM)でアジア事業戦略担当兼広報を務める吉村幹生氏、(右)日本ハム執行役員 スポーツコミュニティ部 部長の前田啓次氏


──最初はリバプールFCとの提携に日本ハム社内でも否定的な声が多かったという中、どのように仲間を増やしていったのでしょうか。

前田:私達は企業理念として「食べる喜び」を掲げています。「食べる喜び」というのは、食を通してもたらせる「おいしさの感動」のこと。それをスポーツによる「健康の喜び」と位置付けて「食とスポーツ」をテーマとし、1973年からプロ野球球団経営を担ってきました。

とはいえ、単に球団を経営するだけではなく、地域のスポーツ振興や食の支援活動も行っています。1993年には、Jリーグが発足した時にセレッソ大阪に資本参加をし、サッカー経営も開始しました。そちらでも、青少年の食事指導やサッカー教室などの支援活動を行っています。

私たちはCSRの重点課題の一つとして、「食とスポーツで心と体の元気を応援する」ことを掲げて取り組んでいます。今回のリバプールFCとのパートナーシップでは、すぐに社内の賛同を得ることは出来ませんでしたが、このような企業理念の原点に立ち返って「食とスポーツ」をテーマとした活動を通じ、海外でコーポレートブランドを浸透させていくという思いで進めてまいりました。

吉村:「一緒にビジネスをやることで利益があがる」というアプローチだけでは、私達にはチャンスがなかったと思います。ですから、今回は「海外でニッポンハムブランド(英語表記“NH Foods”)を一緒に展開していくお手伝いがどのように出来るかという視点で話をさせていただきました。

フードバンクを手伝っていただくことで、リバプールFCサポーター達が日本ハムさんに対して「僕たちの仲間を助ける活動を一緒にしてくれている」という印象を持つようになります。それを東南アジアにいるリバプールFCサポーターも目の当たりにして、日本ハムさんが将来的にその地域で商品展開をする際には、すでにニッポンハムブランドに対するイメージが出来ている状態を作り出せるのではないかと思います。
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文=新川諒 人物写真=小田駿一

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