ビジネス

2019.10.30

異業種の融合──食とスポーツが生み出した、新たなパートナーシップの形

(左)フェンウェイ スポーツ グループのフェンウェイ スポーツ マネージメント(FSM)でアジア事業戦略担当兼広報を務める吉村幹生氏、(右)日本ハム執行役員 スポーツコミュニティ部 部長の前田啓次氏


吉村幹生(以下、吉村):日本ハムさんはファイターズを運営し、そしてセレッソ大阪を支援している大企業ですので、まずどのようにパートナーシップへのアプローチをして良いのだろうかと考えていました。

最初に前田さんとお会いして聞かれたのは「スポーツを事業としてやることをFSGはどのように考えているのか?」ということでした。これからファイターズをどう盛り上げ、セレッソ大阪をどう支えていくべきかとを真摯に考えておられることが最初の印象として強く残っています。

私達は営業を行う際に交渉のメニュー表は一切用意していません。まずは相手を知ることから始め、今回も日本ハムが海外事業をどのように展開しているかを学ばせていただくところから始めようとしました。

しかし今回、「学ばせてください」と伺ったところ、逆に「教えてください」と言ってくださった。そこで、お互いの取り組みを共に学び合うことから始め、スポーツコミュニティ部の皆さんと話をしていく中で、色んなアイディアを出し合いながら、実際にパートナーシップとしての提案を行う流れとなりました。

前田:最初から「スポンサーシップ」という関係ではなくて、「パートナーシップ」を組んでもらいたいと言っていただきました。そして、日本ハムが「食」の部分で行っているCSR活動とリバプールFCが行っている活動のそれぞれの強みをミックスして、相乗効果で良いものを作り上げることが出来るのではないかという話になったのです。私達はファイターズやセレッソ大阪大阪でもCSR活動を実施していますので、FSGの考えには大変共鳴し、ぜひ締結したいという思いに至りました。


@リバプールFC

──もともと前田さんはスポーツコミュニティ部の前まではどのようなお仕事を行っていたのでしょうか?そしてリバプールに対する印象は以前から何かありましたか?

前田:私はスポーツコミュニティ部の前は量販事業部長として大手スーパーの担当営業を行っていました。30年以上営業として働いてきたので売り込むほうは得意なのですが、営業販売を受けるほうはあまり経験値がありませんでした。

弊社はファイターズ、セレッソ大阪、そして2016年からは女子プロゴルフのスポンサーに携わっていますが、当時の私も含め社員がスポーツを通じた活動をまだまだ理解していないところがあります。今回のリバプールFCとのパートナーシップに対しても同様だと感じています。私の役割としては、これらのスポーツに対する取り組みを社内に周知することも大きな役割のひとつだと、他の部署を経験していたからこそ感じています。

スポーツコミュニティ部は昨年発足された新設部署ですが、私自身もようやく勉強を始めたタイミングでFSGからのご提案がありました。会社としても約600億円をファイターズの新球場(ボールパーク)に投資することを発表しましたので、FSGのスタジアム運営に関するノウハウ、さらには飲食や周辺ビジネスに関しても何か学べるのではないかと大いに期待しました。
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文=新川諒 人物写真=小田駿一

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