ビジネス

2019.10.30

異業種の融合──食とスポーツが生み出した、新たなパートナーシップの形

(左)フェンウェイ スポーツ グループのフェンウェイ スポーツ マネージメント(FSM)でアジア事業戦略担当兼広報を務める吉村幹生氏、(右)日本ハム執行役員 スポーツコミュニティ部 部長の前田啓次氏

2019年4月11日。日本ハム株式会社が英プレミアリーグの人気クラブ・リバプールFCとのパートナーシップを発表した。日本ハム代表取締役社長で、現在北海道日本ハムファイターズのオーナーを務める畑佳秀は、多忙なスケジュールの中リバプールの地に降り立ち、リバプールFCの本拠地として歴史を誇る「アンフィールド」を訪れた。

限られた滞在時間の中、リバプールFCが取り組む「フードバンク」の施設に足を運び、そこで働く関係者と意見を交わした。スポンサー企業が行う調印式、記者会見、試合観戦といった一連の流れだけでなく、パートナー企業として共に取り組みを進めていくことを行動ですぐさま示したのだ。ユニフォームに企業名を掲げるスポンサーという支援の形ではなく、「食とスポーツ」をキーワードに“家族”となった両者。

この提携の背景にあった苦労、そしてお互いがこのパートナーシップを通じて今後求めていくものは何かを明らかにするために、日本ハム執行役員 スポーツコミュニティ部 部長の前田啓次氏、そしてフェンウェイ スポーツ グループ(FSG)のフェンウェイ スポーツ マネージメント(FSM)でアジア事業戦略担当兼広報を務める吉村幹生氏に話を伺った。

──企業とクラブとのパートナーシップを前にお二人の出会い、そして繋がりから教えていただけますか。

前田啓次(以下、前田):もともと北海道日本ハムファイターズの関係者がボストン・レッドソックス(リバプールFCと同じFSG傘下のMLB球団)の吉村さんと親交があり、紹介されたのがきっかけでした。

実際に吉村さんとお会いしてFSGの話を聞いてみると、レッドソックスやリバプールFCが、戦績が振るわなかった苦しい時期を乗り越えて、現在では戦績だけではなくビジネス面でも成功を収めている経緯を教えていただきました。日本ハムでもファイターズ、そしてセレッソ大阪といったプロスポーツチームを運営・支援していますのでFSGのノウハウを学べる機会にもなるのではないかなと思っていました。
次ページ > 「スポンサーシップ」ではなく「パートナーシップ」

文=新川諒 人物写真=小田駿一

ForbesBrandVoice

人気記事