宇宙旅行企業として初上場の「ヴァージン・ギャラクティック」

2020年に商用宇宙飛行が始動する予定(ヴァージン・ギャラクティック提供)

英国のリチャード・ブランソンが創業した宇宙旅行企業「ヴァージン・ギャラクティック(Virgin Galactic)」がニューヨーク市場に上場する投資会社と合併し、有人宇宙飛行を手掛ける企業としては初の上場企業となった。

ヴァージン・ギャラクティックは「ソーシャル・ キャピタル・ヘドソフィア(SCH)」との合併を完了し、同社の株式は10月28日から、NY市場において「SPCE」のティッカーシンボルで取引されている。

ヴァージン・ギャラクティックCEOのGeorge Whitesidesは声明で「本日から誰でも、有人宇宙旅行を実施する企業に投資を行うことが可能になり、新たな市場に参加できる」と述べた。

同社は上場に際し、伝統的なIPOやダイレクトリスティングの手法をとらず、既に上場を果たしていたSCHとの合併を選んだ。SCHは「SPAC(Special Purpose Acquisition Company)」という形式に分類され、「上場後に未上場企業を買収することを前提として上場する会社」とされていた。創業者のチャマス・パリハピティヤは同社を2017年に設立し、当初は1株10ドルで上場していた。

SCHの株価は10月25日の取引終了時点では11.69ドルで時価総額は9億7200万ドルだったが、ヴァージン・ギャラクティックとの合併完了後の時価総額は、約23億ドルに達している。

今回の合併は7月にアナウンスされ、ヴァージン・ギャラクティックは新たに調達する4億5000万ドルを、2020年に始動する商用宇宙飛行に投じるとされていた。ヴァージンは今年初めに同社の宇宙船を弾道飛行させることに成功していた。さらに、8月にはニューメキシコの商用化に向けた打ち上げターミナルを公開した。

ヴァージン・ギャラクティックは既に600枚の宇宙旅行チケットを販売しており、売上は1億2000万ドルを超えている。

今回の買収の成立後、ヴァージン・ギャラクティックの既存株主らは株式の約59%を保有する。同社の既存のマネージメントチームはその地位に留まり、SCH取締役のAdam BainとJames Ryansは役員会に参加する。パリハピティヤは新たな会長に就任する。

リチャード・ブランソンは声明で、同社の新たな経営体制について次のように述べた。「ヴァージン・ギャラクティックは、数千名の新たな宇宙飛行士らを送り出す目標に向けて、急速に拡大する数十億ドル規模の市場で、理想的なポジションに立っている」

編集=上田裕資

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