人口減少が止まらない日本に、残された手段

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今、日本にできること

このような事態を少しでも防ぐ確実な方法が一つあります。社会保障制度に今すぐ参加する日本の労働人口を増やすこと、つまり20代以降の移民の受入れです。ここで想起されるのが、今年の4月に新設された在留資格「特定技能」と、今後5年間で約34万人の外国人労働者を受け入れる政策ですが、この新制度と社会保障問題の解決の間にはいくつかの亀裂が走っています。

まず、34万人の枠内で来日する外国人の大多数に付与される「特定技能I」では、通常は通算5年で母国に帰ることが想定されており、また仮に、日本政府の思惑通り34万人の外国人の方が来日してくれたとしても年平均7万人程度ですから、社会保障財政の救済には「焼け石に水」でしかありません。

今の日本に最も重要なのは、半永久的に日本に市民として生活し、納税し、年金制度や健康保険制度などに加入してくれる若者を呼び込むことですが、永住が想定される「特定技能II」は今のところ建設と造船分野に限られ、その詳細や見通しが不透明な形での見切り発車となりました。
 
ますますひっ迫する日本の社会保障制度を救うには、数百万(場合によっては数千万)人の永住を前提とした移民の新規受入れが急務ですが、移民受入れに経験の浅い日本が突然大量の移民を受け入れることはかえって様々な社会的軋轢を引き起こす危険があり、現実的ではありません。

だからこそ、移民受入れ後進国の日本は、欧州諸国などの失敗と成功から大いに学ぶ必要があるのです。
 
いずれにせよ、「特定技能I」のような、問題が噴出している技能実習制度の焼き直し的な政策の継続ではなく、少しずつでも半永久的に日本に移住してくれる外国人を増やしていく方向に今から舵を切らないと、日本に住む人々の老後は悲惨なものになるでしょう。真の意味での日本の国益、日本に住む人々の福祉のために、決断は待ったなしです。

文=橋本直子

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