ソフトバンク傘下の英ARM、ファーウェイへの製品提供を継続

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中国のファーウェイが9月に発売した「P30 Pro」は、背面に4つのライカ製カメラを搭載し、スマホのカメラとしてはトップクラスの実力を備えている。さらに、その後発売された「Mate 30 Pro」にも最先端のイノベーションが詰め込まれている。

しかし、米国政府はファーウェイに禁輸措置を科したため、米国企業は同社と取引を行うことが出来ない状態だ。それにも関わらず、ファーウェイの事業は好調で、同社は先日2019年のスマホ出荷台数が2億台を超えたと宣言した。

ただし、米国による禁輸措置は、他国の企業にも影響を及ぼした。今年5月にソフトバンク傘下の英国のチップメーカー、ARMはファーウェイへの半導体の提供を停止すると宣言した。ARMは米国企業ではないが、同社は「米国にルーツを持つテクノロジー」を利用しているため、米国の規制対象となると述べていた。

ARMの決定はファーウェイの未来を脅かすものと受け止められた。なぜなら、ARMはほぼ全てのスマホの半導体製造に関わっているからだ。

しかし、ARMの法務部門は10月25日、この判断を見直し、ファーウェイへのチップの提供を継続すると発表した。同社は声明で、「Armv8-Aおよび次世代v9のアーキテクチャの、HiSilicon(ファーウェイ傘下のSoC開発製造会社)への提供を継続する」と述べた。

ARMによると、同社のアーキテクチャは英国起源のものであり、米国の禁輸対象ではないと判断したという。HiSiliconはファーウェイのモバイルプロセッサであるKirin 990の製造を手がけている。これは、米国の禁輸措置の影響を回避したいファーウェイにとって、非常に喜ばしいニュースだ。

米中の貿易面での対立は、解決の見込みが全く無い訳ではない。しかし、解決の時期がいつになるかは誰も予測できない状況だ。

編集=上田裕資

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